【EU】WWF、欧州機関投資家の投資ポートフォリオのパリ協定遵守度を分析。報告書発表 2017/07/19 最新ニュース

 国際環境NGO世界自然資本基金(WWF)のヨーロッパ支部、WWFヨーロッパ政策オフィスは7月4日、欧州の主要機関投資家の投資ポートフォリオがパリ協定の2℃目標に沿うものになっているかを分析した報告書「European Asset Owners: 2°C Alignment and Misalignment of Public Equity Portfolios」を発表した。この分析では、WWF等が中心となって開発してきた投資分析手法「Sustainable Energy Investment(SEI)Metrics」が用いられている。

 SEI Metrics(SEI-M)研究プロジェクトは、EUの研究助成プログラム「Horizon 2020」として欧州委員会が250万ユーロ(約3.2億円)の資金を提供。プロジェクトの参画メンバーは、2℃目標の達成を目指す機関投資家イニシアチブの2°C Investing Initiativeが幹事。その他、WWFヨーロッパ政策オフィス、WWFドイツ、CDP、気候債券イニシアチブ(CBI)、チューリヒ大学、フランクフルト金融経営大学、Kepler-Cheuvreux、SMASHなど機関投資家団体、NGO、大学などで構成されている。プロジェクトは、2015年3月にSEI Metricsの開発に着手し、2018年3月までに完成させる予定。今回の報告書は、SEI Metricsの中間披露の意味合いもある。

 同報告書では、開発中のSEI Metricsを用い、石炭採掘、石炭火力発電、再生可能エネルギーの3分野につき、2℃目標で求められる投資ポートフォリオにどの程度沿うものとなっているかを分析した。分析対象となった機関投資家は、オランダ公務員年金基金ABP、オランダ年金基金PFZW、スウェーデン公的年金基金AP1、AP2、AP3、AP4、AP7、スウェーデン保険大手Folksam、ノルウェー公的年金基金GPFG、GPFN、ノルウェー保険大手KLP、ノルウェー銀行大手ストアブランド、デンマーク年金基金PKA、PFA等30機関。分析では、上場株投資だけが対象となり、債券や再生可能エネルギープロジェクトへのインフラ投資などは今回の分析からは除外された。


(出所)WWF Europe

 石炭採掘分野では、デンマーク年金基金PKA以外は2℃目標にある程度沿うものとなっていることがわかった。一方、石炭火力発電分野では、PKA、ABP、PFZW、AP7等10機関が2℃目標から外れる状況であることが判明し、石炭採掘に比べ石炭火力発電では欧州機関投資家の考慮が低い現状であることも見えてきた。また再生可能エネルギー分野では、スウェーデン年金基金Alecta、フィンランド年金保険Varma、スウェーデン公的年金基金AP3を始め16機関は2℃目標に沿うものとなっていた。

 WWFヨーロッパ政策オフィスは、機関投資家の情報開示が限定的であるため第三者評価が困難であるともコメントし、機関投資家に対して気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づき情報開示することも同時に求めた。

【参照ページ】Biggest EU investors are partly aligned with Paris Agreement but more efforts needed
【報告書】European Asset Owners: 2°C Alignment and Misalignment of Public Equity Portfolios
【プロジェクト】SEI-M
【プロジェクト】SEI

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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