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【国際】イーロン・マスクらAI専門家、自律型ロボット兵器の早期禁止を国連に求める公開書簡に署名


 
 人工知能(AI)の国際会議「国際人工知能会議(IJCAI)」の2017年度会合がオーストラリア・メルボルンで8月19日から25日まで開催され、21日のオープニングセッションの中で、人工知能を活用した兵器である「自律型ロボット兵器」の禁止を呼びかける公開書面に、25ヶ国116名のAI・ロボティクス分野の著名人が署名した。署名者の中には、テスラのイーロン・マスクCEOやグーグル・ディープマインドのムスタファ・スレイマン共同創業者の名前もあり、AIが孕む人間社会への負の側面を抑止しようという動きが活発化してきた。

 今回の公開書簡を呼びかけたのは、豪ニューサウスウェールズ大学のToby Walsh人工知能学教授。同教授は、2015年にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催された国際人工知能会議でも、自律型ロボット兵器の禁止を訴える署名を呼びかけ、これまでにAI・ロボット研究者3,105人、その他17,701人がすでに署名している。今回の共同書簡の署名者には、AI・ロボット分野のスタートアップ企業の創業者やCEOが圧倒的に多く、米国、英国、フランス、アイルランド、ロシア、オーストラリア、中国、インドなど非常に多国籍に渡る。日本企業からは唯一、ハイボットの広瀬茂男・共同創業者兼代表取締役、ミケレ・グアラニエリ共同創業者兼取締役、パウロ・デベネスト共同創業者兼取締役が署名に加わった。

 自律型ロボット兵器には、AIが搭載された自動巡航ドローン兵器や自動走行戦車、自動追尾ミサイル等が含まれる。自律型ロボット兵器は、使用者の人命を犠牲にせず、精度の高い殺傷力が期待されていることから、各国政府が研究開発に大きな関心を示している。自律型ロボット兵器が発達すると、ターミネーターなどの映画でも描かれたようなロボット戦争に将来至る可能性も指摘されている。

 公開書簡の訴えは、人工知能技術が自律型ロボット兵器に応用されることを懸念。国連の特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の枠組みの中で、自律型ロボット兵器についての規制を検討する政府専門家会合(GGE)が発足したことを歓迎するとともに、自律型致死性兵器システム(LAWS)が戦争の第3の革命を引き起こすことを警告。これら兵器がテロリストの手に渡った場合には、人類社会に巨大な脅威となるとし、自律型ロボット兵器そのものの開発を抑止することが必要という考えを見せた。共同書簡は、政府専門家会合への参加国に対し、「一度開けられたパンドラの箱を元には戻らない」として、迅速な対応を求めた。同時に公開書簡は、今年8月に開催される予定だった政府専門家会合の第1回会議が、国連分担金の支払いを滞らせている国により資金不足のため、11月に開催が延期されたことについても不満を表明した。

 自律型ロボット兵器はすでに実戦配備され始めている。韓国は、北朝鮮との国境付近にサムスン製SGR-A1無人兵器を装備していると言われている。英国軍も、空対空及び空対陸の狙撃が可能なBAE Systems製Taranisドローンを配備しており、無人戦闘機の配備も計画している。ロシアや米国では、遠隔操作や完全自律操作が可能なロボット戦車が開発中。

 AIの開発が進む中、人類は新たなリスクを抱え始めている。

【参照ページ】Killer robots: World’s top AI and robotics companies urge United Nations to ban lethal autonomous weapons
【共同書簡】An Open Letter to the UnitedNations Convention on Certain Conventional Weapons
【機関サイト】IJCAI
【参照ページ】AUTONOMOUS WEAPONS: AN OPEN LETTER FROM AI & ROBOTICS RESEARCHERS

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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