EU下院の役割を果たす欧州議会は11月13日、気候変動緩和政策パッケージ「Clean Energy for All Europeans」の関連8EU法案のうち重要4法案を可決した。EUの再生可能エネルギー目標、省エネ目標、気候変動政策ガバナンス強化が主な内容。今後、EU上院の役割を果たす加盟国閣僚級のEU理事会での審議に移る。
今回の4法案では、まず、EUでの再生可能エネルギー比率を2030年までに32.5%にする目標を設定。さらに2023年までに上方修正する可能性も規定した。再生可能エネルギー普及に向けては、推進政策の導入、行政手続きの簡素化、電力自家消費を阻害する規制の見直し等を実施していく。また、この目標は電力だけでなく、ガソリン等も含む「エネルギー」のため、交通機関や熱エネルギー業界での再生可能エネルギー転換も図る。バイオエネルギーについては、持続可能な利用を掲げた。
同時に、省エネ目標を2030年までに32.5%と定めた。再生可能エネルギー目標と同じく2023年までに上方修正する可能性がある。再生可能エネルギー普及に向けては、電力価格の増加を懸念する声もあるが、同時に省エネ施策を打つことで電気料金の押し下げを期待し、不安を払拭する狙い。また、EUは今回2020年以降の省エネ目標を掲げたことで、民間投資に予見性を与える。集合住宅等の一般消費者向けにもスマートメーターを導入していき、使用エネルギー情報を得やすくする措置も展開する。さらに、集合住宅で、エネルギー消費を抑えた家庭のエネルギー料金が引き下がるよう、集合住宅での暖房、冷房、熱水消費料金体系の見直しも加盟国に義務化する。
気候変動政策ガバナンス強化では、EUとして一体となったエネルギー政策を打ち出せるよう「エネルギー連合」体制を整える。
今回のEU法案は、EU理事会を通過すると、官報に掲載され、その3日後に施行される。
【参照ページ】Commission welcomes European Parliament adoption of key files of the Clean Energy for All Europeans package
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