【日本・韓国】WTO上級委、福島原発事故後の韓国の水産物輸入禁止措置について韓国側勝訴 2019/04/16 最新ニュース

 世界貿易機関(WTO)の上級委員会は4月11日、日本が韓国を相手取り起こした福島第一原子力発電所事故を理由とする水産物輸入禁止事案で被告である韓国政府側の措置を打倒する最終判決を下した。第一審のパネルでは日本側が勝訴していたが逆転判決となった。上級委員会の判断は、手続き上「紛争解決機関(DSB)」で採択されて確定するが、小委員会の判断のまま採択されることになっている。

 韓国は福島第一原子力発電所事故の後、放射性物質の漏出を理由とし、青森県、岩手県、宮城県、福島県、群馬県、栃木県、茨城県、千葉県の8県産の水産物の輸入を禁止。また水産物以外の食品に対しても検査を強化した。日本は、衛生植物検疫措置の適用を定めたSPS協定が規定する差別、不必要な貿易規制、透明性に反するとして撤回を要求していたが、韓国は応じず、日本は2015年5月にWTOに提訴した。

 2018年2月のWTOパネス(第一審)の判断では、韓国が輸入規制を強化した2011年の措置や、品目を指定し輸入を禁止した2012年の規制は、導入当時としてはSPS協定違反とは言えないものの、日本が国内での規制を解除し始めた後の2013年に8県産の水産物輸入を全面禁止した措置は不当と判断した。この判断を不服とし、韓国政府は同4月、上級委員会に上訴した。

 今回上級委員会は、韓国の輸入規制措置が、SPS協定に照らし,日本産水産物等を恣意的又は不当に差別していること,必要以上に貿易制限的なものであることを認定したパネルの判断を、瑕疵があるとして破棄した。SPS協定では、衛生植物検疫上必要な場合は技術的及び経済的実行可能性を考慮した上で輸入規制を掛けることが認められている。上級委員会は今回、日本政府が主張する同規定違反は、定量的なサンプル調査実測値計測手法のみに依拠しているが、SPSは協定では定量・定性の両面で検討することを認めており、日本の主張を採用したパネルの判断は誤りだとした。 

 また、同様にSPS協定は、科学的証拠が不十分な場合にも輸入規制を課すことを認めており、日本側はこの規定に関する韓国の否を主張しなかったことにより、同規定に基づきSPS協定とするパネルの判断根拠も無効だとした。

 日本政府は、今回のWTO訴訟での勝訴を勝ち取り、他の国にも輸入禁止を解除させていく腹づもりだった。農林水産省によると、2019年3月時点でアジア諸国を中心に23ヶ国・地域が韓国と同様の理由で輸入規制をかけている。一時は54ヶ国・地域まで増え、それから比べると減ってはきている。

【参照ページ】Korea — Import Bans, and Testing and Certification Requirements for Radionuclides
【参照ページ】SPS協定
【参照ページ】WTO紛争解決『韓国による日本産水産物等の輸入規制』上級委員会報告書の発出について(外務大臣談話)
【参照ページ】日本産水産物輸入禁止措置、WTO上級委員会で日本が逆転敗訴

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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