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【EU】欧州委TEG、サステナブルファイナンス「タクソノミー」等4分野最終発表。CCS付石炭火力、ガス火力、原発除外

 欧州委員会のサステナブルファイナンスに関するテクニカル専門家グループ(TEG)は6月18日、気候変動緩和及び適応に資する経済活動を定義した「タクソノミー」、EU公式グリーンボンド基準(EU-GBS)、EU公式ESGインデックス基準の3つの最終提言報告書を発表した。また、欧州委員会は同日、サステナブルファイナンス・アクションプランの一環として、企業の気候変動情報開示に関する新ガイドラインを発行した。

 まず発表されたタクソノミーは、EUの政策目標を達成するために必要な企業アクション分野を定義したもの。具体的には、(1)気候変動緩和、気候変動適応、持続可能な水と海洋資源の消費と保護、サーキュラーエコノミーへの転換、汚染防止・管理、健康的な生態系の保護の6つの分野のいずれかに資するとともに、(2)重大な環境悪影響をもたらさず、(3)最低限必要なセーフガード措置をとっている、の3つの要件を満たすものと定められた。その上で、農業、製造業、電力・エネルギー、水インフラ、交通・輸送、ICT、不動産の各セクターにおいて該当するアクションを定義した。

 今回定められたタクソノミーの大きな特徴は、原子力発電、ガス火力発電、炭素回収・貯蔵(CCS)技術を備えた石炭火力発電のいずれも、タクソノミーから除外した点にある。CCS付石炭火力発電については短期的には低炭素に貢献するが長期的には不適格とした。ガス火力発電については、ガス漏出のおそれが高い点を懸念し不適格とした。但し、CCS技術そのものについては適格とした。

 タクソノミーは、不適格なアクションを禁止したり制約したりするものではなく、各国政府関係者、投資家、企業に対し、推奨するアクションに対して「目印」を付けたもの。今後、タクソノミーは欧州議会とEU理事会での承認作業に入るが、タクソノミーをどのように政策やポリシー、基準等に導入するかは、各政府や官民の各スタンダード設定機関に委ねられる。

 EU公式グリーンボンド基準は、資金使途を前述のタクソノミーに該当するものとした上で、発行体にはグリーンボンドの内容を定めた正式ドキュメント「グリーンボンド・フレームワーク」を策定することを必須とした。発行後の報告では、EU-GBSへの適格性、セクターレベル以上の粒度の資金割当状況、地域別の割当状況(国別を推奨)の3つを含む「割当レポート」と、できれば指標も含んだ形での環境インパクトを記載した「インパクトレポート」の2つが必須とした。また第三者の審査機関によるEU-GBS適格性の検証(Verification)も必須としたが、インパクトレポートについては検証は不要とした。今後、欧州委員会が正式決定の手続きを決める。

 ESGインデックスについては、各ESGインデックスについての手法と開示必須項目の情報開示を義務化した。義務化される項目には、ESGスコア、カーボンフットプリント、気候変動物理的リスクへのエクスポージャー等が盛り込まれた。加えて、EUの脱炭素目標との整合性のある「EU気候移行ベンチマーク(EU CTB)」とパリ協定達成と整合性のある「EUパリ整合ベンチマーク(EU PAB)」の2つの概念を固め、各々ポートフォリオのカーボンフットプリント等で基準を設定した。

 また、策定された企業の気候変動情報開示に関する新ガイドラインは、EU非財務情報開示(NFD)指令の下で、企業、銀行、保険会社等が情報開示しなければならない項目を詳細化したもの。特に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の内容が盛り込まれた。新ガイドラインを遵守する法的義務はないが、同指令の対象企業は、2020年のアニュアルレポート作成から参照することが推奨されている。

【参照ページ】Sustainable finance: Commission publishes guidelines to improve how firms report climate-related information and welcomes three new important reports on climate finance by leading experts

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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