食品世界大手米カーギルは12月3日、サプライチェーンでの二酸化炭素排出量削減アクションを新たに発表。2030年までに世界中のサプライチェーン全体で、製品重量当たりの二酸化炭素排出量を30%削減する原単位削減目標を設定した。サプライチェーンが多岐に渡る食品業界で、カーギルがついにスコープ3全体での削減目標設定に踏み切った。
カーギルは2018年2月、2025年までにスコープ1とスコープ2で二酸化炭素排出量を総量で2017年比10%以上削減すると発表していた。さらに今回スコープ3でも目標設定したことで、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)から承認された。
達成のための具体的アクションとしては、牛肉生産、大豆生産、海運、森林保護の4分野を挙げた。牛肉生産ではすでに7月、北米の牛肉生産サプライチェーン全体で2030年までに原単位二酸化炭素排出量を2017年比30%削減する新たなコミットメント「BeefUp Sustainability」を発表しており、今回の目標達成アクションとして組み込んだ。
【参考】【アメリカ】カーギル、牛肉生産サプライチェーンでのCO2排出量を2030年までに30%削減(2019年7月29日)
大豆生産では、環境保全と両立させるため、リジェネラティブ農業に取り組む。また、大豆生産での二酸化炭素排出量削減、土壌状態の改善、水消費量削減を目指すコンソーシアム「Ecosystem Services Market Consortium(ESMC)」の創設メンバーとしても参加し、参加する農家からの調達を進めている。Soil Health Instituteとも提携し、土壌状態の改善により大豆農家の収益性を上げる取組も実施する。
海運では、2018年だけで二酸化炭素排出量を4.5%削減することに成功。さらに、国際海運NGOグローバル海事フォーラムの脱炭素タスクフォースの委員としても参画している。10月には、三井物産、デンマークのタンカー海運大手マースクタンカースと共同で、海運での二酸化炭素排出量削減のための戦略的提携を発表している。海運では、国際海事機関が2050年までのカーボンニュートラルを目標として掲げており、カーギルもその達成への協力していく姿勢。
【参考】【国際】三井物産、カーギル、マースクタンカース、海運のCO2削減で提携。2050年までに50%削減(2019年10月15日)
森林保全では、土地利用変化(LUC)の観点での二酸化炭素排出量削減に取り組む。すでに2017年にカカオ生産で2030年までに森林破壊をゼロにするコミットメントを発表済み。2018年から2019年にかけては、協同組合12団体を通してカカオ農家3,000人とともに32万本以上の植林を実施した。パーム油でも森林破壊防止アクションを設定。2014年に国連気候サミットで採択された「森林に関するニューヨーク宣言」にもコミットし、2030年までに3億5,000万ヘクタール回復という目標達成協力している。
さらに12月4日、コートジボワールのヨプゴン及びガーナのテマにあるカカオ加工工場を1.13億米ドル(約122億円)投資し拡張すると発表した。そのうち1億米ドルは、ヨプコン工場の生産能力50%拡大に、残りの1,300万米ドルはテマ工場の生産能力20%拡大に投資される。同時に、今回1,230万米ドル(約13億円)をコートジボワールとガーナのカカオ・サプライチェーンのトレーサビリティ向上に投資すると発表。児童労働の対策費として活用し、人権NGOのセーブ・ザ・チルドレンやケア・インターナショナルとも協働する。
【参考】【アメリカ】カーギル、2030年までにカカオ豆サプライチェーンでの森林破壊をゼロに(2017年10月14日)
【参照ページ】Cargill expands climate change commitments
【参照ページ】Cargill invests $113 million in Ivory Coast and Ghana site expansions, $12.3 million towards sustainability and traceability programs
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