欧州委員会は2月12日、EUが発展途上国に付与している武器以外の全品目で数量制限なしにEU域内への輸入関税を撤廃する優遇制度「EBA制度」について、カンボジアの一部アパレル製品等については適用を停止することを最終決定した。EUが要求していた人権保護のための労働法強化がカンボジア政府に受け入れられなかったため。欧州議会やEU理事会からの反対が出ない限り、2020年8月12日に適用される。
【参考】【カンボジア】フン・セン首相、EUによる人権改善要求に反発。「EBA制度撤回の準備はできている」(2019年11月28日)
今回の優遇制度適用は、EUへの輸出が多いアパレル製品、旅行かばん、砂糖に対して適用される。これらの製品はカンボジアからEUへの輸出額全体の20%、10億ユーロ(約1,200億円)に相当する。高級アパレル製品は適用を除外する。カンボジアの主力製品を狙うことで、カンボジアの政策転換を促したい考え。
欧州委員会は2018年7月に、制度適用停止の是非を判断するための情報収集を開始。以降、カンボジア政府との対話を続けてきた。しかし十分な対応が見られないため、2019年2月に適用停止手続きを開始。今回最終決定された。労働組合に対する民事、刑事双方での係争が解決されないことが決め手となった。政治的自由券の確保に向け政党法、結社・NGO法を改正することも要求している。
欧州委員会と欧州対外行動局は引き続きカンボジア政府との協議を続ける構え。人権状況のモニタリングも続け得る。改善が見られれば、EBA適用を再開しうるとも伝えた。
【参照ページ】Trade/Human Rights: Commission decides to partially withdraw Cambodia's preferential access to the EU market
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