欧州の企業・機関26団体は9月2日、EU域内の企業に人権・環境デューデリジェンスを義務化するEU法の制定を欧州委員会に要請する共同声明を発表した。これまでもEU加盟国の単位での人権デューデリジェンス法制化を求める動きはあったが、EU全域での法制化を企業が求めたのは今回が初。26団体の総売上は3,500億ユーロ(約44兆円)にも上る。
今回の共同声明に署名したのは、ユニリーバ、マース、ネスレ、アディダス、H&M、インディテックス、アルディ、ザ・ボディ・ショップ、ABNアムロ、モンデリーズ・インターナショナル、トニーズチョコロンリー、エリクソン、シムライズ、マーシャルズ、リッタースポーツ、チボー、テリア、ファウデ等。また業界団体・NGOからは、Ethical Trading Initiative(ETI)、amfori等が署名した。
同イニシアチブは、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)が規定する人権デューデリジェンスや、環境デューデリジェンスを法制化するよう求めた。声明では、一部企業は率先して、人権・環境デューデリジェンスを実施しているが、レベル・プレイング・フィールド(対等な競争環境)を実現するためにも、法制化が必要と説いた。
また、同声明は、KnowTheChainが6月に発表した情報通信(ICT)業界の強制労働問題への対応状況を評価した2020年ランキング「2020 Information and Communications Technology Benchmark」にも言及し、欧州企業が米国企業よりも平均スコアが低かったことに苦言も呈した。
【参考】【国際】KnowTheChain、ICT大手49の強制労働対応ランキング2020。日本企業は順位下げ低迷(2020年6月9日)
同声明は、国際人権NGOのビジネスと人権資料センター(BHRRC)がリード。国単位の法制化では、フランスでは2017年に「企業注意義務法」が、オランダは2019年に「児童労働デューディリジェンス法」が制定され、人権デューデリジェンスが大企業向けに義務化。ドイツでも法制化が検討されている。また英国では、2015年に「現代奴隷法」が制定され大企業に人権デューデリジェンスが義務化。また現在、森林破壊デューデリジェンスの法制化を検討している。
【参考】【イギリス】政府、大企業への森林破壊デューデリの義務化政策を発表。立法に向けパブコメ募集(2020年9月4日)
【参考】【人権】グローバルで高まる人権デューデリジェンス義務化の動きと背景~差し迫る日本企業への対応要請~(2019年12月23日)
【参照ページ】News release: Big business makes joint call for legal duty of care for human rights and the environment
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