三菱重工業は9月29日、北海道電力、関西電力、四国電力、九州電力の4社と共同で、従来の加圧水型軽水炉からさらなる安全性などを備えた革新軽水炉「SRZ-1200」のプラントのコンセプトを確立し、基本設計を進めると発表した。設備容量は1.2GW級。
同社はSRZ-1200について、地震、津波、竜巻等のあらゆる自然災害に対する高い耐性を持ち、安全対策により万一の事故時においても放射性物質を閉じ込めて影響を発電所敷地内に限定する機能を備えたものになると標榜している。大規模航空機衝突やサイバーテロ等の外部脅威に対しても高度なセキュリティ対策でプラント安全機能を防護するという。従来型よりコストがどの程度増えるかは明らかにしていない。
SRZ-1200は、原子炉の世代で第3世代もしくは第3世代+と言われる分類に属するとみられる。同社は、SRZ-1200を2050年カーボンニュートラルのための電源として売り込んでいきたい考え。但し、EUタクソノミーでは、第3世代の原発は2040年まで、第3世代+の原発でも2045年までの期限付きで、加えて高レベル放射性廃棄物の処分施設を2050年までに稼働させるための詳細な計画を策定していることが条件となっている。これを満たさなければ「サステナブル」とはみなされない。
原子力発電は、通常建設から40年以上の寿命が想定されている。今後開発するSRZ-1200が、どこまでサステナブルと呼べるか、日本のカーボンニュートラルに貢献できるかは不透明と言える。また、高レベル放射性廃棄物の処分施設の建設については、政府全体で議論が進んでいない。
【参照ページ】革新軽水炉「SRZ-1200」について
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