【シンガポール】政府観光局、ホテルとMICEでサステナビリティ・ロードマップ策定。定量目標も

　シンガポール政府観光局（STB）とシンガポール・コンベンション&エキシビション・オーガナイザー＆サプライヤー協会（SACEOS）は12月1日、「MICEサステナビリティ・ロードマップ」を発表した。シンガポールをアジア太平洋地域で最もサステナブルなMICEデスティネーションにする。

　MICEは、Meeting（企業会議・研修）、Incentive Travel（報奨・研修旅行）、Convention（政府主催会議・学術会議・業界会議）、ExhibitionまたはEvent（展示会・見本市・イベント）の頭文字をとった造語。

　今回両者が定めたロードマップは、シンガポール・グリーンプラン2030とSDGsを指針とし、今後数年間でシンガポールのMICE産業全体のサステナビリティ基準を引き上げるための明確な目標および戦略を設定した。具体的には、

• 2023年までに業界が容易に適用できるサステナビリティ基準を策定し、2024年までに国際的に認知されることを目指す
• 2025年までに、チャンギ・エキシビジョン・センター 、ラッフルズシティ・コンベンションセンター 、リゾート・ワールド・コンベンション・センター、サンズ・エクスポ＆コンベンションセンター、シンガポールEXPO、サンテック・シンガポール・コンベンション＆エキシビション・センターの6つのMICE会場とSACEOS会員の80%が、国際的または国内で認められたサステナビリティ認証を取得する
• シンガポールMICE業界が2023年までに廃棄物と二酸化炭素排出量の算出を開始し、2030年までにシンガポール・グリーンプランに沿った廃棄物削減を実施した上で、政府の削減計画に合わせた形で2050年カーボンニュートラルを達成する。

　STBとSACEOSは2022年8月にMICEサステナビリティ委員会（MSComm）を設立。同ロードマップの達成に向けた運営を担う。認証では、ISO20121（イベントサステナビリティ）、MICEサステナビリティ認証（MSC）、Green Mark Certification Schemeを例示した。

　STBは、達成を支援するため、MICE企業に対し、BIF（Business Improvement Fund）やTIP-iT（Training Industry Professionals in Tourism）等の補助金を支給する。また業界のパイロット版を共同開発し、MICEの持続可能なソリューションに特化したスタートアップ企業も支援。研修機会も半年毎に提供する。アメリカン・エキスプレス・グローバル・ビジネス・トラベル（Amex GBT）とも連携する。

　シンガポール政府観光局（STB）は3月には、シンガポールホテル協会（SHA）と協働で、「ホテル・サステナビリティ・ロードマップ」を発表。2025年までにシンガポールのホテル客室数の60%が、ホテル分野のサステナビリティ国際認証を取得することと、シンガポールのホテルは2023年までに二酸化炭素排出量を算出し、2030年までに排出量を削減、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを掲げた。

【参照ページ】Singapore launches roadmap to become APAC’s leading sustainable MICE destination by 2030; achieve net zero by 2050
【参照ページ】Launch of the Hotel Sustainability Roadmap by STB and SHA

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所