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【日本】日本銀行、気候変動市場機能サーベイ第2回結果発表。金融庁はCO2データ整理に課題感

 日本銀行金融市場局は6月7日、気候変動関連の市場機能に関し、発行体、投資家、金融機関、格付会社等816社から得た回答を分析した結果を発表した。同様の調査は2022年にも実施しており今回が2回目。回答企業は前回の290社から今回は380社へと増加した。回答率は前回44%、今回47%。

【参考】【日本】日本銀行、気候変動市場機能サーベイ第1回結果発表。ESG債に高い投資需要確認(2022年8月7日)

 今回の調査では、前回と同様、グリーンボンド等のESG債(サステナブルボンド)への投資動向を確認。さらに、気候関連リスク・機会の株や社債への価格反映状況についても質問した。

 ESG債の発行実績は、概ね発行体のみを分母とした場合、過去に発行実績ありが25%弱。直近1年間に発行実績ありが約10%。前回との比較では、直近1年間に発行実績が多少増えた。発行しない理由については、「外部資金調達のニーズがない」が5割弱を占め、他に、「国内の他の手段の方が条件が有利」「ESG債発行に適したプロジェクトがない」の順。日本市場では、発行条件が有利になっているわけではないこともわかった。

 一方、ESG債への投資実績では、概ね投資家のみを分母とした場合、過去実績で約60%、直近1年でも約50%と高かった。投資理由では、「社会的・環境的な貢献」「レピューテーションやステークホルダーへの説明力の向上」「ポートフォリオのリスク対比でみたリターンの改善」の順で、この3つが多かった。

 ESG債の需給では、全体の6割強が「概ね均衡」、3割が「需要超過」、1割弱が「供給超過」だった。発行と投資の双方について、今後の方針では、減らすとした回答はなかった。発行では、増やすが2割強。投資では増やすが3割強。

 気候関連リスク・機会の市場価格への反映では、反映されていると「思う」もしくは「ある程度思う」の回答が4割程度で、前回と同水準。反映されていないと思う気候関連リスク・機会は、「物理的リスク」が最多で5割強。移行リスクが4割程度だった。

 株価に反映されるために必要な要素では、「情報開示の拡充や標準化」「気候関連リスク・機会を重視する投資家や発行体の広がり」「ESG評価の透明性の向上」の順に多かった。社債では、「気候関連リスク・機会を重視する投資家や発行体の広がり」「情報開示の拡充や標準化」「ESG評価の透明性の向上」の順。

 今回の調査を受け、日本銀行金融市場局は、「気候関連リスク・機会の金融商品価格への反映状況については、株式市場、社債市場ともに、価格にある程度織り込まれているものの一段の織り込みの余地があるとの見方が示された。ただし、社債価格については、前回調査時点と比べて、幾分織り込みが進んでいることが示唆された」とコメントした。

 また別途、金融庁は6月後半、脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会の報告書と、サステナブルファイナンス有識者会議の第三次報告書も発行している。

 脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会報告書では、金融機関に対し、移行(トランジション)戦略では、地球規模の目標から逆算した排出の期待値(パスウェイ)と、これを踏まえた金融機関・企業の排出目標(経路)が必要と指摘。進捗を測る指標については、投融資カーボンフットプリント(ファイナンスド・エミッション)の他、他の定量・定性指標を併せて総合的に捉えることを提言。またサプライチェーン全体の排出量を効率的に揃えるための共通プラットフォームが整備との考えも示した。

 また、地域企業では相対的に取組みに遅れることへの課題感も示したが、対策としては、排出量収集の標準化、共通化、様式、プラットフォームの統一の重要性を伝えた以外には、財務局等によるセミナー開催や、地域金融機関の自発的アクションを提言するにとどまった。

 サステナブルファイナンス有識者会議の第三次報告書では、今後の方向性として、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)を踏まえた企業開示の充実、個人が投資しやすいESG投信の拡充・浸透等を掲げた。但し、大半が気候変動に関するものにとどまり、自然資本を踏まえた他の項目については、ほとんど盛り込まれなかった。

【参照ページ】気候変動関連の市場機能サーベイ(第2回)調査結果
【参照ページ】「脱炭素等に向けた金融機関等の取組みに関する検討会報告書」の公表について
【参照ページ】「サステナブルファイナンス有識者会議第三次報告書」の公表について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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