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【国際】国連、COP28でのグローバル・ストックテイクに向け報告書。企業・金融機関を重要視

 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局は9月8日、国別削減目標(NDC)を段階的に引き上げていくパリ協定の仕組み「グローバル・ストックテイク」の国際実務者会合(テクニカル・ダイアログ)の議論をまとめた統合報告書を発表した。11月から開催される国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)でのグローバル・ストックテイク決議に向けた科学的エビデンスとなる。

【参考】【国際】UNFCCCグローバル・ストックテイク会合、2023年各国目標引上げに向け議論本格化(2022年6月20日)
【参考】【国際】COP28議長、重要議題を4つ提示。第1回グローバル・ストックテイクに向け調整役指名(2023年7月17日)

 パリ協定では、5年毎に国別削減目標(NDC)の見直しを行う「グローバル・ストックテイク」の実施が規定されており、COP28では初となるグローバル・ストックテイクが予定されている。グローバル・ストックテイクに向けては、2021年からデータ収集フェーズが始まり、2022年から2023年にかけ3回のテクニカル・ダイアログ会合も開催された。今回のテクニカル報告書は、それらをまとめたものとなった。

 同報告書では、現在の状況は1.5℃目標を達成することは難しく、二酸化炭素排出量を世界全体で2030年までに2019年比で43%減、2035年までに60%減、2050年までにカーボンニュートラルを達成する必要があると明記した。各国は、あらゆる分野、あらゆる業種で機会を活用し、削減を早急に加速させる必要があり、全ての削減努力のない(Unabated)の段階的廃止と、再生可能エネルギーの拡大、森林破壊の撲滅、全ての温室効果ガス削減を、需要と供給の双方のサイドで展開していかなければならないとした。重工業、不動産、輸送、農業についても、重要分野として名指しした。

 実行に向けては、企業や金融機関、地方自治体等の非国家主体が主役となり、政府は企業の変革を促すような政策を打ち出すべきであり、大規模な変革を成し遂げるためには、公正な移行(ジャスト・トランジション)の概念が極めて重要になるとの考えを示した。また経済の多様化も、社会の反発を和らげる役割を果たすとした。

 気候変動適応では、すでに人と環境に対する気候変動の影響を始まっており、全ての人にとって持続可能で生活可能な未来を作るには、ロス&ダメージ対策で残されている時間は少ないと吐露。そのため、場当たり的ではなく、全世界をカバーする包括的な適応計画の策定が急務とした。また、気候変動適応も、あらゆる分野、あらゆる業種で機会になりうるとした。

 資金については、政府系金融機関と民間金融機関の双方で、1.5℃整合性のあるファイナンスを実現していくべきと言及。また気候変動適応でも、政府系金融機関が大きな役割を果たすが、民間金融機関の資金を呼び込む仕組みづくりが必要とした。とりわけ、発展途上国へのファイナンスが極めて少ないことを危惧し、大幅な資金を発展途上国に送り込む必要があると強調した。

 CDPは9月13日、UNFCCCの報告書を受け、企業、金融機関、地方自治体の重要性が強調されたことを歓迎。グローバル・ストックテイクの第3回テクニカル・ダイアログでも、企業、金融機関、地方自治体の排出削減目標設定を義務化すべきと強調されており、CDPとして目標設定義務化を支持していくと表明した。

【参照ページ】Implementation must accelerate to increase ambition across all fronts, taking an all-of-society approach to make progress towards the Paris Agreement goals and respond to the climate crisis, finds technical report on first global stocktake
【参照ページ】CDP response to G20 leaders summit and publication of global stocktake synthesis report

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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