国連環境計画(UNEP)、ストックホルム環境研究所(SEI)、IISD、E3G、Climate Analyticsは11月8日、政府の化石燃料生産削減コミットメントの状況を分析した年次報告書「Production Gap Report」の2023年版を発行した。
同報告書では、化石燃料を産出するオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、コロンビア、ドイツ、インド、インドネシア、カザフスタン、クウェート、メキシコ、ナイジェリア、ノルウェー、カタール、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、アラブ首長国連邦(UAE)、英国、米国の主要20ヶ国の化石燃料生産計画を分析した。
今回の分析によると、20ヶ国政府の2030年までの生産計画は、1.5℃目標水準に対して約2.1倍、2℃目標水準に対して70%増にも上ることがわかった。この水準では、世界の石炭生産は2030年まで、世界の石油・ガス生産は少なくとも2050年まで増加し、化石燃料の生産格差は長期的に拡大することになる。
種別では、石炭は2030年頃にピークアウトする一方、天然ガスが2030年以降も大幅な生産増が計画されている。天然ガスでは、特にロシア、米国、ナイジェリア、サウジアラビア、ブラジル等での生産増が大きい。
(出所)UNEP
同報告書は、すでに151カ国政府がカーボンニュートラルを宣言しており、現状政策でも、世界の石炭、石油、ガスの需要は今後10年でピークアウトするという最新の予測にもかかわらず、化石燃料を供給過多にしようとしている各国計画を非難した。
同報告書は、炭素回収・貯留(CCS)及び二酸化炭素除去(CDR)のリスクと不確実性を考慮すると、各国は2040年までに石炭の生産と使用をほぼ全廃し、石油とガスの生産と使用を合わせて2050年までに2020年のレベルから4分の3まで削減することを目指すべきと主張。また、20カ国中17カ国がカーボンニュートラルを宣言していることに加え、石炭、石油、ガスの生産を1.5℃水準に削減することにもコミットすべきとした。
【参照ページ】Governments plan to produce double the fossil fuels in 2030 than the 1.5°C warming limit allows
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