国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)と国際労働機関(ILO)は12月3日、国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)の場で、銀行と保険会社向けに、新たなガイダンス「公正な移行(ジャストトランジション)ファイナンス」を発表した。同様のガイダンスは今回が初。
UNEP FIとILOは今回、パリ協定の目標達成には世界経済全体の大きな転換が必要であり、転換では、公正な経済的・社会的便益を確保し、社会的弱者を保護するものにする必要があると言及。雇用創出、イノベーション、レジリエントな社会の発展に向け、金融セクターは重要な役割を担っているとした。気候変動緩和と適応の双方を考慮対象とした。
同ガイダンスは、低炭素社会への転換がもたらす社会的・経済的影響を概説し、銀行や保険会社が公正な社会への移行の実現に参画することを支援するもの。ILOはすでに「銀行・投資のための公正な移行ファイナンス・ツール」を2022年に策定していたが、UNEP FIと協働し内容を発展させた。実務アドバイスや事例も紹介した。
ガイダンス内容では、コーポレートガバナンスとして公正な移行へのコミットメントを確保することや、経営戦略に組み込まれていることを重視。社会的リスクと機会をマッピングした上で、アクション分野を特定していくべきとした。また戦略策定では、社会との対話及びステークホルダー・エンゲージメントを実施して、影響を受ける人々の声に耳を傾けることを必須のプロセスとした。
同ガイダンスは、気候変動における公正な移行に焦点が当たっているが、自然(生物多様性)分野にも適用できるものとして設計された。
同ガイダンスの策定には、アクサ、ゼネラリ保険、UBS、BNPパリバ、ABNアムロ、ING、プルーデンシャル保険、ロイズ・バンキング・グループ、NN等が、委員を務めた。
【参照ページ】First roadmap for financiers implementing the Just Transition launched at COP28
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