欧州委員会は12月7日、EU法全体にわたる化学物質評価の合理化、化学物質に関する知識基盤の強化、新たな化学物質リスクの早期発見と対策の確保のため、2つのEU規則と1つのEU法を改正する政策を発表した。今後、EU理事会及び欧州議会との調整に入る。
今回の法改正では、「1物質1評価」政策として、一つの物質を複数の機関で評価する体制を改善し、ワンストップで複数の観点で評価できるようにする。対象は、医療機器、玩具、食品、殺虫剤、殺生物剤等の製品に使用される化学物質。これにより行政の重複を防ぎ、迅速な評価につなげる。
まず、欧州化学機関(ECHA)、欧州食品安全機関(EFSA)、欧州環境機関(EEA)、欧州医薬品庁(EMA)の4機関での化学物質に関する科学的・技術的作業を統合し、協力を強化。各機関は、化学物質の評価に使用される優先順位の設定、スケジュール、プロセス、方法論を調整するための体制を整備する。また、評価によって得られたナレッジを共有し、別の法律でも活かせるようにする。
次に、共通データ・プラットフォームを確立し、EU法に基づいて作成されたEU諸機関および欧州委員会が保有する化学物質に関するデータへの「ワンストップ・ショップ」アクセス制度を導入。これには、危険性、物理化学的性質、環境中の存在、排出、用途、化学物質の環境持続可能性、進行中の規制プロセスに関するデータが含まれる。共通データプラットフォームは、化学物質モニタリング情報プラットフォーム(IPCHEM)、公共活動調整ツール(PACT)、EU化学物質法令ファインダー(EUCLEF)等の既存のプラットフォームを包含する予定。
また、EU内で生成されたヒトのバイオモニタリングデータの体系的収集を確立し、ヒトから検出される化学物質レベル(血液や母乳等)について政策立案者に情報を提供する体制も駆逐する。
加えて、PFAS等の化学物質のリスクに関し、汚染が蔓延する前の早期発見体制として、モニタリングと見通しのフレームワークを構築。また、迅速な規制対応を可能にし、化学物質に関する規制措置の影響をモニタリングしにいく。同フレームワークは、早期警告、行動システム、指標の枠組み等で構成される予定。
さらに、ECHAが必要に応じてデータを作成できるようになる。企業委託案件んに関しても、化学物質に関する科学的研究の透明性を確保する。
【参照ページ】Commission proposes ‘one substance, one assessment' chemicals assessment reform for faster, simplified and transparent processes
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