
東京海上ホールディングスは3月13日、「気候変動に対する当社の基本的な考え方」を改訂したと発表した。脱炭素計画の策定を取引条件に設定した。同様の方針を設定した損害保険会社はアジア初。
同社は2023年10月、2050年カーボンニュートラルに関する2030年中間目標を設定。傘下の東京海上日動火災保険が、保険引受に伴う二酸化炭素排出量の約9割を占める大口顧客200社と対話し、160社以上に課題認識を踏まえた提案を行うことを目標として掲げている。
【参考】【日本】東京海上、保険GHGで中間目標設定。エンゲージメント160社に。環境NGO「不十分」(2023年10月3日)
今回の改訂では、大口顧客200社のうち、保険引受に伴う排出量の約7割を占める高排出セクター60社を対象に、エンゲージメントを通じて脱炭素計画の策定を求めていく。さらに、脱炭素計画を有していない企業との取引を禁止する。
高排出セクターには、石炭火力発電及び一般炭、石油ガス、運輸、不動産、鉄鋼、セメント、アルミニウム、農業を指定した。取引禁止の対象は、投融資と保険引受の双方。但し、社員単位の健康や福祉を支援する労災保険等は禁止の対象外とする。
今回の決定に関し、境NGOの「環境・持続社会」研究センター(JACSES)、気候ネットワーク、Friends of the Earth(FoE)Japan、メコン・ウォッチ、Insure Our Futureの5団体は3月14日、声明を発表。方針に掲げた「脱炭素計画」の要件が不明瞭とし、非国家主体ネットゼロ・エミッション・コミットメント専門家グループ(HLEG)の提言や、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)の基準に準拠した移行計画(トランジションプラン)を掲げること等、パリ協定の長期目標と整合的な移行計画を要件とすることを求めた。また、国際エネルギー機関(IEA)の2050年ネットゼロシナリオ(NZE2050シナリオ)に基づき、発電セクターのカーボンニュートラルは2040年までに、化石燃料企業のカーボンニュートラルも2025年までを期限するよう求めた。
【参考】【国際】国連専門家グループ、カーボンニュートラル宣言要件を提言。グリーンウォッシュ防止(2022年11月10日)
【参照ページ】「気候変動に対する当社の基本的な考え方」の改定について
【参照ページ】共同声明「東京海上がGHG高排出企業からの保険引受撤退条件を表明するも、パリ協定1.5度に整合的な移行かどうかは不明確」を発表
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