
中国工業情報化部は6月19日、リチウムバッテリー関する行政通達「リチウムイオン電池業界規範広告管理弁法」を公布した。製品品質基準を高めに設定し、過剰生産を抑制する政策を打ち出した。6月20日に施行された。
リチウムバッテリーを巡っては、米バイデン大統領が5月、米通商代表部(USTR)に対し、1974年通商法301条(スーパー301条)に基づき、中国からの輸入品180億ドルに対する関税を2024年中に引き上げるよう指示。バッテリーもその対象となっている。また、5月のG7財務相・中央銀行総裁会議、6月のG7サミットでも中国の過剰生産を非難する声明を出していた。
【参考】【アメリカ】バイデン大統領、中国製品の関税大幅引上げを指示。スーパー301条(2024年5月15日)
【参考】【国際】G7財務相・中央銀行総裁会議、共同声明。中国の過剰生産を批判(2024年5月27日)
【参考】【国際】G7プーリア・サミット、首脳コミュニケ発表。GHG2035年60%以上減を目標(2024年6月16日)
今回の行政通達では、「リチウムイオン電池産業標準化条件(2024年版)」を別途発行。中国国内のリチウムバッテリー、正極材、負極材、隔膜、電解液製造事業者に対し、法人格の取得、国の開発計画の遵守、同標準化条件の遵守を義務付けた。関連事業者は、自主検査を実施し、各法人毎に登記所在地の省政府に自主的に申請する必要がある。グループ会社も個別に申請が必要。審査は省政府からのチェックを受け、工業情報化部が行う。また審査承認を受けた後も、省政府当局の監督・検査を受ける。
リチウムイオン電池産業標準化条件(2024年版)では、製品性能の他、電極塗膜の厚さと長さ、電極のバリ発生、液体注入プロセス中の温度、湿度、清浄度等の環境条件、有害物質の管理精度等で基準を設定。また労働安全衛生、社会保険への加入、緊急廃棄物処理能力、フルライフサイクルのトレーサビリティシステム確立、環境汚染防止、太陽光発電等のクリーンエネルギーの使用、工場設備の省エネ化、工場建設での生態系保護規制遵守等も盛り込まれた。
製品一単位あたりのエネルギー消費量についても最低基準が設定された。リチウムバッテリーは400kgce/百万Ah以下。正極材は1400kgce/t以下。負極材は3000kgce/t以下。隔膜は750kgce/百万m2以下。電解液は50kgce/t以下。
【参照ページ】中华人民共和国工业和信息化部公告2024年第14号
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