
機関投資家の食品・小売関連イニシアチブ「Farm Animal Investment Risk and Return(FAIRR)」は7月17日、食品及び小売世界大手20社を対象としたイニシアチブ「たんぱく質の多様性エンゲージメント」の初年度の結果を発表した。
FAIRRは、食料バリューチェーンでのカーボンニュートラル、ネイチャーポジティブ、健康・栄養の3つの目標を達成するためには、圃場での気候変動緩和だけでなく、動物性たんぱく質から植物性たんぱく質にシフトさせることも必要とみなしている。FAIRRは同イニシアチブは2023年に立ち上げ、フェーズ1としていた初年度の1年の成果とインサイトを振り返った。
たんぱく質の多様性エンゲージメントの対象となった20社は、ウォルマート、ターゲット、コストコ、カルフール、テスコ、セインズベリー、ウールワース・グループ、ロブロー、クローガー、アホールド・デレーズ、コールズ・グループ、アマゾン、ネスレ、ダノン、モンデリーズ・インターナショナル、ゼネラル・ミルズ、ハーシー、コナグラ・ブランズ、クラフト・ハインツ。
今回の報告書では、対象企業の95%が、植物性たんぱく質ポートフォリオの拡大にリソースを割いているにもかかわらず、75%はカーボンニュートラル化手法としてたんぱく質の多様化を位置づけてきれていないことがわかった。
さらに、対象企業の100%が気候変動コミットメントを掲げており、70%の企業がそのコミットメントを達成するための取締役会レベルの気候変動に関する専門知識を有している一方、75%の企業しか栄養や健康に関するコミットメントを掲げておらず、25%しか当該トピックに関する専門知識のある取締役がいなかった。公正な移行(ジャスト・トランジション)へのコミットメントも弱い状況。
市場全体としては、食品価格高騰や超加工食品忌避の動きにより、植物性食品へのシフトが進んでいることもわかった。但し、一部の市場では、青果には追い風だが、代替たんぱく質関連食品についてはそこまでの追い風ではない状況もある模様。企業のマーケティング戦略では、ポイントカードでの割引、レシピの紹介、店頭での商品配置、ラベリング手法等が活用されている。
これらを受け、機関投資家に対し、動物性たんぱく質へのエクスポージャーがもたらす重大な気候、自然、公衆衛生上のリスクを評価し、たんぱく質の多様化当該リスクの軽減や財務的機会として機能するかを特定することや、当該観点を企業分析の中に織り込んでいくことを促した。
【参照ページ】Shifting Diets: A Market Opportunity to Abate Climate, Nature and Public Health Risks
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