
国連グローバル・コンパクト(UNGC)の海洋スチュワードシップ連合は9月24日、気候変動、汚染、生物多様性の喪失の「三重惑星危機」に対処するための宣言「プランクトン・マニフェスト」を発表。海洋生態系の源となるプランクトンの保護を打ち出した。
プランクトン・マニフェストは、大学研究者等で構成する「コア編集チーム」が策定。日本からは、濵﨑恒二・東京大学大学院教授、緒方博之 京都大学大学院教授、竹山 春子・早稲田大学教授の3人も入っていた。
同宣言では、プランクトンは海洋そして地球全体の重要な生態系サービスの基盤となっているにも関わらず、価値が過小評価されていると表明。さらに近年、生息の脅威も高まっている。一方、DNA配列、AI、人工衛星画像、バイオインフォマティクス等の新たなテクノロジーにより、プランクトンの評価、理解、活用を取り巻く環境が急速に向上しているとし、10の具体的な提言をまとめた。
プランクトンは外洋のバイオマスの90%を占め、海洋の生物学的炭素貯留の99%を占めている。プランクトンが果たす生態系サービスとしては、沿岸生物多様性の保全、新製品開発、海洋・淡水生態系の栄養、炭素固定、漁業・養殖のサポート、環境保全モニタリングにおける重要な生物多様性変数、化学物質の解毒、栄養循環、水サイクル保全、プラスチック分解、酸素供給の11個を挙げた。
一方、プランクトンに悪影響を与えている人間活動として、「陸上農業からの栄養塩の流出」「化学物質、石油、プラスチック汚染」「海洋温暖化・海洋酸性化」「ダム、ラグーン、風力発電タービン、海洋インフラ等、流体力学的フロー、塩分、光、生息地、栄養塩の利用可能性に影響を与えるインフラ」「外来プランクトン種の持ち込みやパンデミックの拡大をもたらす海洋活動」「有毒プランクトン(シアノバクテリア)や害虫(特に蚊の幼虫)の浮遊幼生の増殖」「抗生物質」の7つを挙げた。
提言では、モニタリングの知見向上、教育・啓発、国際アジェンダ化の3つの観点から、9つの提言を行った。特に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)と国連生物多様性条約(CBD)の枠組に、プランクトンの議論を持ち込むことも提唱した。国連グローバル・コンパクトは、今後、各国際会議で関係者からの賛同を求めにいく。
【参照ページ】UN Global Compact Ocean Stewardship Coalition Launches the Plankton Manifesto to Address Triple Planetary Crisis
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