
欧州委員会は7月7日、生物多様性・自然資本分野でのクレジット制度構築のため「ネイチャークレジットに向けたロードマップ」を発表した。制度検討のための専門委員会設置に向け、9月10日まで委員を公募する。
ネイチャークレジットは、気候変動分野でのカーボンクレジットと同様、環境インパクトに金銭的価値をつけることで市場性や投資対象としての魅力を高める施策。ネイチャークレジット発行の対象となる分野はまだ確定していないが、今回一例として、湿地の再生や森林面積の拡大等を挙げた。
欧州委員会は、EU域内の経済付加価値の3分の2が自然と生態系サービスに依存しており、ユーロ圏の企業の72%が生態系サービスに依存していると認識。自然資本を高めていくことは、農家、林業従事者、漁師、土地所有者、地域コミュニティに新たな収入機会を提供することにもつながり、企業と自然環境の双方にとってメリットがあるとみている。ネイチャークレジットの買い手としては、企業、金融機関、リテール投資家、公共機関まで幅広く想定されている。
またEUは、2026年度までに予算の10%を生物多様性分野に割り当てることにコミットしており、外部生物多様性支出を70億ユーロに倍増させる方針。生物多様性投資に年間約650億ユーロが必要と推計される中、ネイチャークレジットは目標達成に向けた施策としても位置づけられている。
同ロードマップでは、ネイチャークレジットは、明確な基準と信頼できる認証制度を確立し、有効性と信頼性を確保しつつ、制度に参加する際の行政負担を回避することを方針として明記。既存の認証等も活用していく考えを示した。基準としては、EUの「生態系とそのサービスのマッピングと評価」や国連統計委員会の「環境経済会計システム–生態系会計」等の枠組みを例示した。
ネイチャークレジットの制度構築に向けた手順としては、
- 加盟国とステークホルダーの緊密な連携を構築し、各々の専門知識を活用して共通認識を構築するとともに、国際協力を促進する。
- グリーンウォッシング、ダブルカウンティング、リーケージ等のレピュテーションリスクを防ぐための信頼性の高いガバナンスとセーフガードを確保しつつ、簡潔さと使いやすさに重点を置いた信頼性が高く透明性の高い方法論を開発する。
- 市場の需要と供給を特定し、開発する。
- 必要に応じて、リスク軽減ファシリティ、ブレンデッドファイナンス、技術支援助成金等の公的シード資金を提供し、ネイチャークレジットの立ち上げを支援する。
欧州委員会は、2025年から2027年にかけ、EU加盟国政府、ステークホルダー、国際的なパートナーと協議を進め、新設する専門家委員会を中心に検討を進めていく計画。
【参照ページ】Nature Credits Roadmap to reward nature-positive action and boost private finance
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