
国際甘味料協会(ISA)は9月4日、一部の人工甘味料と認知機能の低下には関係性があると発表された学術論文に対し声明を発表。直接的な因果関係が証明されたものではないとし、慎重な解釈を求めた。
今回対象となっている論文は、ブラジル・サンパウロ大学のクラウディア・キミエ・スエモト准教授らが9月3日に米神経学会誌「Neurology」に発表したもの。特定の人工甘味料の摂取量の多い人は、摂取量が少ない人に比べ、全般的な認知機能低下が加速し、人工甘味料の摂取が脳を最大1.6年相当老化する可能性があるとしていた。
同研究では、ブラジルでの成人健康縦断研究(ELSA-Brasil)に参加した35歳から75歳の1.3万人を対象に、食生活と認知機能の関係を分析。認知機能検査は8年間のうちに平均3回実施され、言語の流暢性、ワーキングメモリー、単語の想起、処理速度が測定された。
また同研究では、人工甘味料の摂取量を3グループに分類。最も摂取量の多いグループで1日当たり平均191mg(小さじ約1杯)、中程度のグループで平均66mg、最も少ないグループで平均20mg摂取していた。世界保健機関(WHO)によると、ダイエット炭酸飲料1缶には、人工甘味料のアスパルテームが約200mgから300mg含まれているという。
研究結果によると、低カロリー、ゼロカロリー甘味料を最も多く摂取したグループは、最も少ないグループに比べ全般的な認知機能の低下スピードが62%速かった。また中程度の摂取量グループは、最も少ない量しか摂取しなかったグループと比べ、全般的認知機能の低下速度が35%速かった。それぞれ1.6年分、1.3年分の脳の老化に相当する。
一方、機能低下との関連性がみられない人工甘味料もある。今回の研究で対象となった人工甘味料は、アスパルテーム、サッカリン、アセスルファムK(カリウム)、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、タガトースの7種。そのうち果糖やブドウ糖と同じ単糖類のタガトースは、認知機能低下との関連性がみられなかった。
これに対し、国際甘味料協会は、同研究結果には年齢層や糖尿病の有無によって一貫性がなく、8年前のベースライン時に一度だけ収集された自己申告による不正確な食事データに依存しているため、重大な偏りをもたらす可能性があると指摘。加えて、性質が全く異なる2種類の甘味料である「高甘味度甘味料」と「ポリオール」を区別せず、1つの「複合甘味料」として扱っているため、統計結果に偏りをもたらす可能性のある「フロア効果」に対する懸念も示した。
さらに同協会は、低カロリー・ゼロカロリー甘味料の安全性は、欧州食品安全機関(EFSA)、米食品医薬品局(FDA)、世界保健機関(WHO)、国連食糧農業機関(FAO)の合同食品添加物専門家会議(JECFA)等の世界の主要な保健当局によって一貫して確認されていることを強調。人工甘味料は、肥満や2型糖尿病等の管理において重要な砂糖とカロリー摂取量を減らすための安全で効果的な手段と伝えた。
【論文】Association Between Consumption of Low- and No-Calorie Artificial Sweeteners and Cognitive Decline: An 8-Year Prospective Study
【参照ページ】ISA statement on new study on sweeteners and cognitive health
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