
米国務省人身取引監視対策部は9月29日、各国の人身売買防止対策を評価した「人身取引報告書」の2025年版を公表した。日本の評価は前回と同じくTier2のままだった。
米国務省は、「人身取引」を性的人身売買と強制労働の2つと定義し、2001年以降毎年、各国政府による人身売買防止対策を評価している。評価基準は、人身売買問題の有無や規模ではなく、各国政府での対策が米人身売買被害者保護法(TVPA)が定める最低基準を満たしているか否か。評価は、「Tier1」「Tier2」「Tier2監視リスト」「Tier3」の4段階で行われる。評価分析は、米国大使館、政府関係者、国際機関やNGO、学術研究、ニュース記事、各国への出張調査、米国国務省に直接寄せられるメール等など、様々な関係者から集められた情報を基にしている。
今年の報告書は、人権NGOに批判的な第2期トランプ政権発足後初の発行となったが、前年までを踏襲した内容となった。分析手法も、「現地及び国際NGOの代表、国際機関関係者、ジャーナリスト、学者、被害者との面会を含む」と明記されており、国際機関やNGOも重要な情報源として扱われた。
また今年の報告書では、世界各国で労働搾取の有罪判決が過去最高を記録したことを高く評価。さらにAIの影響として、人身取引業者によるAI活用や、生成AIによる新たな人身取引を含む性的搾取を特記した。また、IUU(違法・無報告・無規制)漁業での強制労働についても特筆した。その上で、強制労働によって生産された製品の輸入禁止は、政府が活用できる手段の一つと強調した。
日本政府に対する要求事項も前年のものを踏襲。人身取引に対する捜査・起訴の強化、有罪判決を受けた人身取引業者への相当の懲役刑を含む適切な刑罰、改正外国人技能実習制度関連法に基づく監督・執行措置の実施の強化等を求めた。
一方、韓国、台湾、シンガポールは最高位のTier1。最低位のTier3にはラオスが加わり、ブルネイ、ジブチ、トルクメニスタンがTier2に上がった。中国、ロシア、北朝鮮、カンボジア、イラン、ベネズエラ、キューバ等はTier3のまま。ブラジル、南アフリカ、チュニジア等はTier2からTier2監視リストに格下げされた。
【参照ページ】On the Release of the 2025 Trafficking in Persons Report
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