
世界経済フォーラム(WEF)は9月18日、気候変動による健康リスクと経済生産性損失に関して分析した報告書を発表した。コンサルティング世界大手米ボストンコンサルティンググループ(BCG)と共同制作した。
同報告書では、気候変動によって深刻化する7つの主要な健康リスクを調査。2025年から2050年までの期間で、気候変動を要因とする労働者の疾病や死亡による生産損失の経済的コストをモデル化した。
分析対象は、熱中症、デング熱、マラリア、下痢性疾患、栄養欠乏症及び栄養失調、オゾン関連疾患と死亡、粒子状物質による疾患・死亡の7つ。健康関連データは学術文献から、雇用データと経済的コストは国際労働機関(ILO)及び世界銀行のデータに基づき算出した。
気候変動が特に大きな影響を及ぼす4つの経済セクターとして、食料・農業、建設環境、医療・健康、保険を挙げた。気候変動に伴う健康リスクが食料・農業、建設環境、医療・健康の3つのセクターで、最低1.5兆米ドル(約220兆円)の生産性損失をもたらす可能性があると指摘した。
具体的には、食料・農業セクターが7,400億米ドル(約110兆円)、建設環境セクターが5,700億米ドル(約80兆円)、医療・健康セクターが2,000億ドル(約30兆円)の損失が見込まれる。保険セクターでは、気候変動による健康被害に関する保険金請求が急増すると予測した。
気候変動への適応コストが管理不能となる前に、従業員の健康を守り、事業運営のレジリエンスを構築し、生産性を維持するために、企業に対し今すぐ行動を起こすよう警鐘を鳴らした。
企業が気候変動適応に早期に投資することで、リスク軽減だけではなく、新たなイノベーションと成長の機会の開拓することにより新興市場のニーズにも対応可能だとし、既に様々なイノベーションが生まれつつあると報告。例えば、気候変動に強い作物の開発による食料システムの保護、高温環境下でも有効性を維持する医薬品開発による医療アクセスの拡大、建設作業員の安全を確保する冷却技術の導入、気候変動による健康被害から地域社会を守る新たな保険モデルの構築等。
また、グローバルな健康レジリエンスへの移行を実現するためには、政策枠組みによる支援、相互運用可能な気候変動関連健康データシステム、資本動員のための革新的な資金調達メカニズムが不可欠であると強調した。
【参照ページ】Climate Health Risks Put $1.5 Trillion in Productivity at Stake by 2050
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