
英エネルギーデータ大手ブルームバーグNEF(BNEF)は11月7日、国連気候変動枠組条約第29回バクー締約国会議(COP29)に向け、G20諸国の気候変動政策の状態を評価したレポート「気候政策ファクトブック」第5版を発表した。日本はG7の中で最も悪かった。
同レポートでは、化石燃料支援、カーボンプライシング、気候リスク政策の3つの軸でG20諸国を分析。日本は中国と並び、化石燃料支援の状態が悪い上にさらに悪化している国として評価された。理由は、石炭火力発電の建設中止と段階的廃止が非常に遅いという点にある。
3つの軸で、全て望ましい状態にあるのは、EU及びドイツ。一方、3つの軸全てで悪い状態にあるのが、ロシアとサウジアラビア。
(出所)BNEF
全体の傾向では、G20諸国での化石燃料公的支援額は2022年に1兆1,000億米ドルに増加。主な背景には、エネルギー価格が高騰したことで、価格抑制のために政府が消費者を含む需要家を支援したことがある。しかし、その結果、エネルギー会社の増益につながったケースもあり、支援の在り方にも疑問が投げかけられている。一方、2023年は、試算段階だが、9,450億米ドルにまで下がっている模様。
石炭火力発電の設備容量は、2019年から2023年にかけ3%増加し、約2TWとなった。さらに0.6TWが計画中。2023年までに、経済協力開発機構(OECD)のG20諸国は2019年比で石炭火力発電容量を平均22%削減したのに対し、非OECD諸国では6%増加した。
義務的カーボンプライシングの導入国は、G20の温室効果ガス排出量の29%をカバー済み。さらに今後、プログラムの拡大や新たな制度の開始に伴って上昇する予定。一方、価格の低さが問題となっており、2℃未満水準レベルにあるのはEU排出量取引制度(EU-ETS)のみ。カナダとカリフォルニア州は10年後までに同水準に達する見通し。またオーストラリア、中国、南アフリカ、米国の州の一部でも価格は上昇した。
企業や金融機関の情報開示を指す気候リスク政策では、G20の間での格差は拡大。EU、ブラジル、英国等は規制導入で向上した反面、アルゼンチン、サウジアラビア、ロシア等は依然として規制がない。今後、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)基準での報告義務化が期待されている。
【参照ページ】Fossil-Fuel Subsidies Stay High but G-20 Inch Forward on Carbon Pricing and Climate-Risk Policy
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