
EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は1月9日、EU-メルコスール連携協定(EMPA)と暫定貿易協定(iTA)への署名を承認した。EMPAは欧州議会の同意と、全EU加盟国での批准が完了すれば手続完了となるが、それまでの期間、EMPAの大部分が盛り込まれているiTAが適用される。交渉開始から27年を経て、ようやくEUとメルコスールの自由貿易協定(FTA)が締結された。
メルコスールは、南米の関税同盟として1995年に設立。現在、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイの4カ国が加盟し、7億人市場となっている。2023年にはボリビアが正式に加盟したが、2028年までに国内法をメルコスールの規制や枠組みに適用させる準備中の段階にあり、今回のEUとの協定では対象外。
EUはメルコスールの物品貿易において第2位の輸出先で、2024年のメルコスール総貿易額の約17%を占める。同年、EUとメルコスールの貿易総額は1,110億ユーロを超え、うち輸出が552億ユーロ、輸入が560億ユーロ。両地域間の物品貿易は2014年から36%以上増加。また2023年の最新データでは、EUとメルコスールのサービス貿易額は420億ユーロを超えている。
連携協定の内容では、EUからメルコスールへの輸出では、輸出額の90%超の品目で関税を撤廃。メルコスールからEUへの輸出でもほぼ同程度の品目で関税が撤廃となり、残りの部分でも特恵的な扱いとなる。関税撤廃は10年から15年をかけて段階的に実施される。また、政治対話、協力、包括的分野別の合意も盛り込まれており、政治対話規定では、気候変動、平和維持活動、移民等のグローバル課題に関する緊密な連携を促進することとなっている。
EU-メルコスールの連携協定の交渉は1999年に開始され、2024年12月6日に交渉が完了。しかし、イタリアとフランスは安価な農産物の輸入が増えることを懸念し延期を求め、ポーランド、ハンガリー、オーストリア、アイルランドも同調していたが、最終的には南米の重要鉱物の供給確保を優先する意見が強くなり、今回承認に至った。
今回の決定により、EMPAのうち自由貿易協定分野以外の政治対話等の大部分については、EUとして協定に署名し、EMPA批准までの暫定措置として先行して発効する。自由貿易協定に関する内容では、iTAが加盟国の批准が不要なEUの専属的権限として締結され適用を開始しつつ、EMPAが発効すれば、自動的に失効する。これにより、EU企業はメルコスール諸国の公共調達プロセスにアクセスできるようにもなる。
また、メルコスールからEUへの農産物輸入に起因する市場混乱に迅速に対処するための措置として、メルコスール向けの二国間セーフガード規則についても立法手続が進められている。内容面では、すでに2025年12月にEU理事会と欧州議会で政治的合意に達しており、今後双方での立法手続が進められる。また今回、EU理事会は、欧州委員会に対し、iTAに基づき農産物に対する二国間セーフガード措置を適用する権限を付与し、関税割当対象製品には強化された監視要件が適用されることとなった。EU加盟国は欧州委員会に対しセーフガード調査の開始を要請でき、欧州委員会は意図するセーフガード措置について理事会に対し完全かつ適時に通知する義務を負う。
【参照ページ】EU-Mercosur: Council greenlights signature of the comprehensive partnership and trade agreement
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