決済世界大手米マスターカードは7月22日、海洋プラスチックごみ由来の再生プラスチック等で製造された植物由来、無塩素漂白、生分解性でリサイクルできるクレジットカードやデビットカード用の持続可能なカードを開発したと発表した。すでに世界12カ国の金融機関60社が使用することを決めた。
世界では、毎年60億枚のクレジットカードやデビットカードが製造されており、主な素材はポリ塩化ビニル(PVC)。製造されたカードは、平均3年から4年で交換され、廃棄時には埋め立て処分されている。世界の4分の3以上の人々環境への懸念を強く示しており、企業に対し地球へのインパクトへの取り組みを求める中、同社は2018年、カード製造ジェムアルト、ギーゼッケ・アンド・デブリエント、アイデミアと共に、カード製造でのPVC削減イニシアチブ「Greener Payments Partnership(GPP)」を設立した。
クレジットカードやデビットカードは、マスターカードのような決済会社ではなく、カードの発行会社が素材を選んでいる。カード発行会社の役割は、グローバルでは銀行が担っていることが一般的。すでにクレディ・アグリコルやモーリシャス商業銀行等が今回のカードを活用すると発表。間もなくサンタンデール銀行も加わるという。
マスターカード子会社英DigiSecラボは、製品イノベーションやセキュリティ、同カードの素材構成と環境負荷の分析技術へ投資。カード利用者に対し、持続可能な素材により製造・発行されていることを保証する。また同社は、既存のプラスチック製カードを、環境にやさしくリサイクルするための学術研究にも投資している。
マスターカードはその他にも、1月にシティバンク等と協働で、植林イニシアチブ「Priceless Planet Coalition」を発足。参画企業は、同社クレジットカードでの決済を通じて植林活動に参加できる。同社は、今後5年間で1億本の植林を宣言している。
【参考】【国際】マスターカード、植林寄付クレジットカード発行。シティバンク等協働。国際環境NGOの寄付
また、スウェーデンのフィンテックスタートアップ「ドコノミー」と提携し、消費者の環境フットプリントの追跡、理解、アカウンタビリティを可能にするITツールを提供。さらに同社はRE100にも加盟し、再生可能エネルギー移行も推進している。
【参照ページ】Mastercard Leads the Payments Industry Forward to a More Sustainable Future
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