国際再生可能エネルギー機関(IRENA)と国連気候変動枠組条約第28回ドバイ締約国会議(COP28)議長国のアラブ首長国連邦(UAE)は12月4日、農業と健康のバリューチェーンを再生可能エネルギーで変革することを目指す新たなイニシアチブ「Empowering Lives and Livelihoods – Renewables for Climate Action」を設立したと発表した。
同イニシアチブは、農業・食料と健康のバリューチェーンを再生可能エネルギーで変革し、気候変動の影響を受ける脆弱なコミュニティのレジリエンスと適応力を強化することが目的。エネルギー分野は、気候変動だけではなく、食料安全保障、健康、医療等の他の持続可能な目標と密接な関係にある。
農業分野では、25億人が働き、世界のエネルギーの約30%が消費されているが、その大部分は化石燃料に依存しているため、価格や供給リスクに対してサプライチェーン全体を脆弱にしている。COP28では、「持続可能な農業、レジリエントな食料システム、気候アクションに関するCOP28 UAE宣言」に日本を含む134カ国が署名した。
【参考】【国際】COP28、リジェネラティブ農業転換に134ヶ国署名。2030年1.6億ha。総額3300億円動員へ(2023年12月2日)
保健分野では、10億人が電気のない保健施設に依存していると推定されている。IRENAや世界保健機関(WHO)等の調査によると、南アジアでは一次医療機関の12%、サブサハラ・アフリカでは15%が電気を利用できない。農業と保健分野では、特に女性への影響が大きいとした。
これらの課題に対して、信頼性の高い、手頃な価格での持続可能なエネルギーへのアクセスの拡大が必要となる。分散型の再生可能エネルギーが供給されることで、生産性や収入の向上、機会損失を減らし、気候変動への耐性を向上させることができる。例えば、農村部の診療所ではワクチンを冷蔵保存することができ、灌漑設備を稼働させることが可能。
同イニシアチブでは、各団体の専門知識を組み合わせたマルチステークホルダー・パートナーシップを構築。特に、発展途上国や小島嶼開発途上国(SIDS)に対して各国毎に金融ソリューションやプログラム支援を行い、女性や若者に対しても公平な機会、利益の促進を行う。
【参照ページ】IRENA and UAE Launch Initiative at COP28 to Empower Lives and Livelihoods
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら