中国で課題となるシャドーバンキングの担い手となってきた信託銀行。2001年に中国で信託法が制定されてから中国で急成長している。2015年夏、信託業界の業界団体である中国信託業協会は「2014年信託業CSR報告書」を発行、中国における信託業界のトレンドを発表した。
報告書によると、2014年は中国の信託業において大きな発展があり、これまでCSRという考え方があまり普及していなかった信託業において、大多数の企業が社内にCSR制度を導入。例えば、CSRマネジメント制度、CSRガイドラインや実施規則などが制定された。また、58社がCSR部門を設置、業界全体の合計で600名がCSR関連業務に就いているという。このような背景にはCSRの積極化を推進する政府の意向があったとも報告されている。また、同報告書では、業界全体のCSR経費が1,968万人民元(約3億5000万円)にのぼり、178回の業務トレーニングに14,034人が参加したことにも触れた。
シャドーバンキングの影響で経営基盤が不安定化する中国の不動産業界。2014年12月には、同年に財務部と銀行監督委員会が共同で発令した「信託業保証基金管理規程」のもとで中国信託業保証基金が設立された。この基金は、信託銀行が倒産、違法取引などによって経営危機に陥った際、基金が資金を提供し信託財産の保護や資金の流動性確保を行うというもの。この基金の設立には中国信託業協会および主要信託銀行も大きく後押ししており、報告書の中にも成果として記載されている。
それ以外では公益信託の伸長、グリーン融資の活発化なども盛り込まれた。公益信託の分野では、資産規模が18.6億人民元(約338億円)、公益信託への寄付金額が合計1.39億人民元(約25億円)に上る。グリーン融資の分野では、省エネルギー設備や環境保護、クリーンエネルギー等の部門に対する557億人民元(約1兆円)の融資があったことを明らかにした。信託銀行自身へのグリーン経営に対して合計で3,278万人民元(約6億円)が費やされた。
しかしながら、今回信託業協会が業界全体のCSR報告書をまとめたのに対し、信託銀行自身のCSR報告書の発表は依然8行に留まっていることも指摘されており、中国の信託銀行が先進国の信託銀行ように「赤道原則」に署名するなどには遠く及ばず、まだまだ始まったばかりという状況。
【機関サイト】中国信託業協会
【参照リリース】信托业2014年度社会责任报告发布 多家公司切入“绿色信托”
【参照リリース】《中国信托业2014年度社会责任报告》摘登
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