金融庁は5月28日、野村ホールディングスと野村證券に対し、業務改善命令を出した。東京証券取引所に絡む、重大な情報漏洩が確認された。両社には6月4日までに初回報告書提出義務が課された。今回の事件に伴い、野村證券を主幹事から外す発行体が相次いでいる。
金融庁は、両社に対し金融商品取引法に基づく報告をさせるとともに、野村ホールディングス監査委員会傘下の外部有識者による特別調査チームの調査結果を踏まえ、両社に重大な問題あったと判断した。
今回問題となったのは、野村證券市場戦略リサーチ部所属のチーフストラテジストが3月5日、東京証券取引所の「市場構造の在り方等に関する懇談会」の委員を務める野村ホールディングス関連会社等の研究員から、東証で議論されている市場区分の見直しについて、上位市場の指定基準及び退出基準が時価総額250億円以上とされる可能性が高くなっていると推測される旨の情報を入手。「関連会社等の研究員」とは、野村総合研究所の社員とみられる。同ストラテジストは、同日及び翌6日に、野村證券と、野村ホールディングスの海外現地法人であるノムラ・インターナショナル(香港)の営業2名、外部のファンドマネージャー1名に対し、市場構造に関する東証における検討状況に係る情報を伝達していた。さらにそこから外部機関投資家33機関に、情報を提供して勧誘する行為が確認された。
金融庁によると、同行為は、法令に反する行為ではないが、一部特定の顧客のみに市場構造に関する東証での検討状況に係る情報を提供して勧誘する行為と判定。資本市場の公正性・公平性に対する信頼性を著しく損ないかねない行為とした。
金融庁は今回、2012年に野村證券が行政処分を受けた増資インサイダー事案と類似性が認められるとし、過去の行政処分を踏まえた業務運営の改善が不十分と事態を重く見ている。これにつき、野村證券の親会社である野村ホールディングスの取締役会に対しても、グループ一体となって適切な経営管理に取り組んでいないとし、重い責任を認めた。
今回の問題行為発覚を受け、ホンダファイナンス、大阪ガス、小松製作所、不二製油グループ本社、東京地下鉄、沖縄振興開発金融公庫が、検討している社債や財投機関債の発行から野村證券を外すことを決めた。
【参照ページ】野村證券株式会社及び野村ホールディングス株式会社に対する行政処分について
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