日本銀行の黒田東彦総裁は11月28日、パリ・ユーロプラス主催フィナンシャル・フォーラムの場で、気候変動に関する金融リスクを検討するための中央銀行・金融当局団体「NGFS(Network for Greening the Financial System)」に加盟したと発表した。
【参考】【国際】英独仏蘭中など中央銀行・金融当局8機関、気候変動金融リスク管理検討で会議体発足。日本は未参加(2017年12月14日)
【参考】【国際】欧州中央銀行や金融庁、気候変動リスクに係る金融当局ネットワークNGFSに加盟(2018年6月7日)
【参考】【国際】中銀・金融当局連合NGFS、中央銀行のESG投資ガイダンス発行。気候変動は金融リスクの発生源(2019年10月20日)
黒田総裁は、「金融安定に関する新たな論点の一例として、気候関連リスクに言及したいと思います」と気候変動に触れた。日本銀行が、気候変動関連リスクについて言及したのは極めて新しい動き。NGFSへの加盟に踏み切った背景については、「フランス中央銀行のヴィルロワ・ド・ガロー総裁や他の同僚の方々からの後押しが大きかった点を申し添えます」とし、NGFSの発起人の一人であるフランス中央銀行総裁の強い呼びかけがあったことを明らかにした。
黒田総裁は、気候変動リスクについては、「究極的には人命こそが重要ではあるものの、自然災害の影響としては、資産価格の下落や担保価値の毀損に繋がる可能性、関連するリスクが金融機関の大きな課題となる可能性もあります」と語り、自然災害が金融課題となってきていることへの認識を示した。但し、自然災害増の原因については、「日本では、台風などの厳しい自然災害が増加しています。因果関係をはっきりさせることは容易ではありませんが、甚大な自然災害が増加している原因として、地球温暖化を指摘する人もいます」とし、地球温暖化が自然災害増加の要因という見方は避けた。
金融セクターでの気候関連リスクに関する横断的問題としては、「炭素排出が幅広い産業に影響を及ぼすこと、時系列的な問題としては、炭素排出の影響が長期に亘る問題となること」とし、二酸化炭素排出量が論点となっていることには言及。NGFSに参加することを通じて、「他の参加機関とともに今後の議論に貢献」したいと語った。
【参照ページ】国際的な金融規制・監督:これまでの成果、現在の論点、将来の課題
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