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【国際】ウイグル強制労働への関与可能性問題で大手企業がNGOに回答。ファストリやアディダスも

 中国・新疆ウイグル自治区等で少数民族の強制労働への懸念が示されていた問題で、強制労働の関与可能性が指摘されていた企業が複数、3月16日までに状況を回答した。日本のファーストリテイリングも回答した。

【参考】【国際】中国ウイグルでの強制労働、各業界が対策声明発表。日本大手11社も関与可能性(2020年3月13日)

 今回回答を求める質問表を送付したのは、国際人権NGOビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)。背景には、オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)の調査結果より、NIKE、アップル、マイクロソフト、アディダス、サムスン電子、マークス&スペンサー、GAP、H&M等大手83社の強制労働関与が指摘されたことがある。ASPIは、少なくともウイグル人8万人が新疆ウイグル自治区工場へ強制的送還されており、2017年以降、中国9省27工場でウイグル人強制労働が行われていると推定している。

 今回、アディダス、サムスン電子、BMW等が回答した。

アディダス
 アディダスは、サプリチェーン上のあらゆる強制労働を厳格に禁止していると回答。10年間以上、同地域含め、中国政府が管理するスキームを通じたサプライヤーや雇用を許容していないとした。

 同地域の強制労働については、2019年8月にも国際人権NGOビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)へも回答済み。アディダスは当時、渦中のサプライヤーの華孚(Huafu)は中国やベトナムにかけて広く工場を有しており、グローバルのアパレルブランドも間接的に同社の綿糸を利用している可能性があることも認めていた。

【参考】【中国】NGO、ウイグル綿花での収容所強制労働問題でアパレル大手の間接関与調査。ユニクロも対象(2019年8月9日)

 一方、今回の回答では、原料サプライヤーに対し、華孚を含む同地域からの糸の購入を禁止したことも明示。工場のウェブサイトや建物にアディダスのロゴを不正利用していた工場のマネジメントチームにも直接エンゲージメントを行い、謝罪されたとした。現在では同工場から、アディダスのロゴは削除されているという。

 また、青島即発華錦服装では商品製造を行っておらず、同社はアディダスの認可サプライヤーではないと明言。また、同社の親会社の即発に連絡し、現状の理解を深めるだけでなく、国際アパレル人権NGOの米・公正労働協会(FLA)と協働で、同社に対し、強制労働リスクに対応するための計画書の作成を呼びかける等、同地域の課題解決に向け、継続的に取り組んでいるとした。

サムスン電子
 サムスン電子は、同社が加盟するRBA(責任ある企業同盟)の行動規範に則り、企業やサプライヤーへのデューデリジェンスを行っていると回答した。また、全サプライヤーやサブサプライヤーにも、同社行動規範や移民労働者ガイドラインに準じた対応を要求し、定期的に同基準を理解の深める研修を行っているとした。

ファーストリテイリング
 ファーストリテイリングは、ASPIから指摘された2つの工場との取引はないと回答。同地域では、同社ブランドのユニクロの商品は製造されていないことも確認済みだとした。さらに、労働者と同社を直接繋ぐホットライン等の工場監視プログラムでも、問題は報告されていないという。また、すべての生産工場では、人権や労働者の権利を含む厳格な行動規範への準拠を必須としていると明言した。

 ファーストリテイリングは2019年8月、アディダス同様、同地域の強制労働について、国際人権NGOビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)へ回答済み。当時はウイグル地区にサプライヤーがいない点と今後調査を行う旨のみの回答であったが、今回は行動規範や工場監視プログラム等の具体的な対応姿勢も見せた回答となった。

BMW
 BMWは、ASPIからの連絡は受けておらず、同課題についてコメントはできないと回答した。その上で同社は、直接サプライヤーの選定プロセスにおいて、サステナビリティ基準を組み入れており、同基準の遵守を重要な選定要因としていると明示。購入条件についても、人権や労働条件等、サプライヤーに対する様々な質問事項を有するとした。さらに、直接サプライヤーについては、自社同様のポリシーを適用し、サブサプライヤーへも適用することを要求していると回答した。

インディテックス
 インディテックスは、同地域の工場と契約がない点を明言すると共に、サプライチェーンでの強制労働を厳しく禁止し、人権の尊重と促進に全面的にコミットし、最高水準の国際労働基準を満たすよう努めていると回答した。

 また同社は、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)に従うだけでなく、持続可能なサプライチェーンを担保するため、中国を含む4カ国やアパレル小売、業界団体、国際労働機関(ILO)等の外部専門家と協働。包括的なデューデリジェンスや改善に継続的に取り組んでいるとした。

NIKE
 NIKEは、同地域に直接サプライヤーは無く、即発との関係もないと回答した。同社行動規範およびリーダーシップ基準に則り、あらゆる強制労働や自由な移動の制限、民族・宗教等による差別等を禁止していると強調。中国のサプライヤーに対し、継続的な精査を実施し、同地域に関連する潜在的なリスク特定・評価を行っているとした。

 また、同社サプライヤーである韓国Taekwangの青島工場は、2019年より同地域からの新規募集を停止しており、現在の頃の従業員の雇用契約を終了するための最良かつ最も責任あるアプローチについて、専門家のアドバイスを求めているとした。

【参照ページ】China: 83 major brands implicated in report on forced labour of ethnic minorities transferred from Xinjiang to factories across provinces
【参照ページ】adidas’ response to research findings published by the Australian Strategic Policy Institution
【参照ページ】Inditex’ response
【参照ページ】NIKE STATEMENT ON XINJIANG_FINAL

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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