化粧品世界大手仏ロレアルは5月12日、新型コロナウイルス・パンデミックがもたらす影響に対処するため、環境・社会連帯プログラムを発表。優先的に取り組むべきアクションとして、社会的に立場の弱い女性支援慈善基金5,000万ユーロ(約54億円)の設立と、生態系の再生や気候変動対策への合計1億ユーロ(約107億円)のインパクト投資を表明した。
女性支援慈善基金では、社会的・経済的に立場の弱い女性は大多数が片親であり、最低限度の生活をおくる上でも、フードバンクに頼らざるを得ない状況だと指摘。ロックダウン後、世界各地で家庭内暴力や性的暴力も増加しており、フランスでは30%増加したという。同社は、慈善基金を通じ、貧困対策、女性の社会進出、難民や女性障がい者への緊急支援の寄付、女性に対する暴力の防止、被害者を支援する。
環境分野へのインパクト投資では、インパク投資ファンド「ロレアル自然再生ファンド」を設立。まず、持続可能な農業および漁業の開発、エコツーリズム、カーボンクレジット等の分野に5,000万ユーロを投資する。100万haの劣化した生態系を回復させ、二酸化炭素1,500万tから2,000万tの吸収や、数百人分の雇用機会創出を目指す。
加えて、同ファンドから気候変動緩和の分野にも5,000万ユーロを投資。特にプラスチック廃棄物のサーキュラーエコノミー化に向けたソリューションや新たなビジネスモデルに投資する。
同社は2013年、持続可能な開発プログラム「Sharing Beauty With All」を開始。製品設計から原料調達、生産、流通まで、バリューチェーン全体へのインパクトにコミットしてきた。2019年末には、工場および配送センターからの二酸化炭素排出量を、2005年比78%削減を実現。また、エコデザインツールSPOTの活用により、同年発売した製品の85%において、社会または環境プロファイルを改善した。同社連帯調達プログラムでは、地域コミュニティの90,635人に対し、就職支援を実施。その他、環境情報開示を推進する国際NGOのCDPの「気候変動」「ウォーター(水)」「フォレスト(森林)」3リストすべてで最高評価Aリスト入りを果たした。4年連続Aリスト入りは、世界でロレアルのみ。
【参考】【環境】2019年CDPレポート〜気候変動・ウォーター・フォレストでAリスト入りした企業〜
【参照ページ】L’Oréal announces the creation of its program L’Oréal for the future: €150 million to support vulnerable women and protect the environment
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