国連責任投資原則(PRI)は10月23日、2021年から2024年までの戦略アクション案を公表し、署名機関からの投票を開始した。投票で多数の支持が得られれば正式決定する考え。今回示した案の中では、特に署名機関の最低履行要件を引き上げる計画が注目を集めている。
現在PRIは、アセットオーナーと運用会社の署名機関に対し、運用資産総額の50%を超える運用をカバーするESG投資ポリシーの制定、内部従業員や運用委託先等の運用会社に対しポリシーの適用、責任投資ポリシーが確実に実行されることを経営陣(Senior-level)が責任を持つガバナンスやマネジメント体制の3つを最低履行要件として設定している。遵守できないと除名される。
【参考】【国際】PRI、署名機関に対し最低履行要件を設定。ESG投資運用方針制定や経営陣コミットメント等(2018年1月11日)
【参考】【国際】PRI、最低履行要件の不履行で5機関が除名。2018年の制度導入後の初発動(2020年9月29日)
これに対し今回示した案では、後者2つの要件については、そのまま維持しつつ、ESG投資ポリシーのカバー範囲を「運用資産総額の50%を超える運用」から「運用資産総額の90%を超える運用」に大幅に引き上げる。さらに策定したESG投資ポリシーの公表も要件に加える。
加えて、運用資産残高(AUM)が100億米ドル、もしくはAUM全体の10%以上を占める全アセットクラスでESG投資を実施することや、上場企業に対しエンゲージメントや議決権行使を通じたアクティブ・オーナーシップを発揮すること、PRIへの年次報告の提出データについて全部もしくは一部の内部監査及び第三者監査を実施し経営陣が署名することで報告の信頼性を高めること、の3つを追加する。
また、最低履行要件を遵守できない署名機関に対し、除名までのイエローカード発動の機関を、現在は2年間設けられているが、これを1年に縮め、早期に除名措置が採れるようにもする。
【参照ページ】PRI strategic plan 2021-24 consultation
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