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【国際】ブラックロック、2021年のフィンク・レターで気候変動と社会格差を強調。ESG投資のリターンに自信

 投資運用世界大手米ブラックロックのラリー・フィンクCEOは1月26日、投資先企業のCEOに向けた公開書簡2021年版を発表した。フィンクCEOは毎年このタイミングで、次の株主総会シーズンを意識した書簡を出しており、通称「フィンク・レター」とも呼ばれている。また、今年は同社のクライアントであるアセットオーナー向けの「フィンク・レター」も発表した。

 昨年のフィンク・レターでは、重要テーマとして、真っ先に気候変動を挙げ、「企業の長期展望を規定するファクター」と明言。そして2021年にもフィンク・レターの内容の大半が気候変動だった。新型コロナウイルス・パンデミックにより、気候変動でのトランジションはますます加速し、ESG投資のでの投資信託の額も前年比約2倍の2,880億米ドル(約30兆円)にまで積み上がったことを受け、ESGの動きは確たるものになっているとの見方を示した。

 気候変動に関しては、主要株式インデックスのS&P500やMSCI Worldでは、投資ポートフォリオ企業全体で3℃上昇の道筋を辿っているとし、技術イノベーションと事業計画の双方でのトランジションに成功することが不可欠になっていると指摘。フィンク氏自身は、未来の経済の健全さと資本主義の未来に対しては「大いに楽観的」と断言し、エネルギー転換に懸念しないどころか、エネルギー転換によって未来の経済は健全になるとの考えを強調した。

 また気候変動の面では、昨年と同様、気候関連財務情開示タスクフォース(TCFD)とSASBに言及。企業は、ネットゼロ経済(カーボンニュートラル)と整合性のあるビジネスモデルについての経営計画を開示するよう求め、また同経営計画を長期的戦略に落とし込むとともに、取締役会でのレビューを行うよう求めた。また、乱立しつつあるサステナビリティ情報開示基準の動きについては、投資家としては単一の開示基準になることを望むと述べた。

 さらに今年は、パンデミックの影響を受け、社会的弱者にこそ経済的打撃が大きくなっていることを受け、ESGの「S」の側面も重視した。具体的には、顧客、従業員、地域社会にどのような価値を提供したいかという「パーパス」を世に示すほど、長期的で耐性のある利益を株主にもたらすと断言。昨年に続き「パーパス」について触れた。各地域での「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DEI)」をサステナビリティレポートの中で開示することを強く要求した。ブラックロックとしても同様の開示を行うと伝えた。

 今年は、ESG投資のパフォーマンスについても自信をみせた。世界全体でのESGインデックスは、ベンチマークのパフォーマンスを81%も上回っただけでなく、セクター内でも、自動車や金融機関、石油・ガス等では、ESGによって企業のリターンは分かれてきており、「サステナビリティ・プレミアム」が生まれていると明言した。

 一方、アセットオーナー向けのフィンク・レターでは、ブラックロックのネット・ゼロ(カーボンニュートラル)コミットメントをあらためて伝えた。具体的には、ポートフォリオのカーボンフットプリントの算出と開示、投資意思決定への落とし込み、議決権行使・エンゲージメントへの落とし込みの3つに挙げた。

 投資意思決定では、同社の今年の市場展望「Capital Market Assumptions(CMA)」の中で、気候変動を考慮することのリスクとリターンの定量推定を発表することを約束。さらに、パッシブ運用で業界トップに上り詰めた同社が、アクティブ運用を強化する姿勢も鮮明にした。

 エンゲージメントでは、昨年は、二酸化炭素排出量の多い世界440社をターゲットとし、191社を「注視リスト」に入れていることを公表。取締役選任決議でも64社で反対票を投じている。2021年にはターゲット企業を1,000社にまで拡大することも明らかにした。株主提案にも積極的に賛同していく姿勢も示した。

【参照ページ】Larry Fink's 2021 letter to CEOs
【参照ページ】Net zero: a fiduciary approach

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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