
欧州委員会は3月5日、自動車産業アクションプランを発表した。1月に開始した「自動車産業の未来に関する戦略対話」での協議も踏まえ、ゼロエミッション、コネクテッド、自動運転の転換を実現していくための産業政策の骨子を示した。
【参考】【EU】欧州委、自動車燃費基準罰則の運用を柔軟化。鉄鋼はセーフガード強化へ(2025年3月5日)
同アクションプランでは、自動車産業は、グローバル・サプライチェーン・リスク、原材料やバッテリーの輸入への依存、化石燃料への依存、熾烈な人材獲得競争、主要投入部品のコスト格差、不安定さを増す地政学的状況等に直面しており、バッテリー、ソフトウエア、インフォテインメント・システム、自律走行等の主要戦略技術で遅れをとるリスクがあると指摘した。その中で、海外大手は、様々な形で国の支援を受けていることが多く、EUとしても域内自動車産業への支援を厚くする必要があると強調した。
そこで、同アクションプランでは、「イノベーションとデジタル化」「クリーンモビリティ」「競争力とサプライチェーンのレジリエンス」「スキルと社会的側面」「公平な競争条件とビジネス環境」の5つの主要分野を掲げた。
イノベーションとデジタル化では、自動運転の開発環境について、米国や中国に比べて、EUは規制が厳しく、不利になっていると認識。そこで、欧州委員会はEI加盟国と協力し、大規模な国境を越えたテストベッドを3ヶ所以上設立し、規制サンドボックス制度を整備することを宣言した。また、規制緩和では、欧州委員会は、優先事項として、自動運転に関する規制の枠組をさらに発展させ、2025年には自動駐車システムを搭載した無制限のシリーズ車両の認可を、2026年にはより多くのユースケース(ハブからハブへの貨物輸送等)の認可を開始。さらに、ADS(自動運転システム)とADAS(先進運転支援システム)の公道での試験導入を加速するため、EU全域の公道での試験を用意にする新規則を策定する。
さらに、欧州コネクテッド車両・自律走行車連合(AECA)を創設し、ソフトウェアとデジタルハードウェアの開発を支援。さらにEU予算プログラム「Horizon Europe」から、2025年から2027年にかけ、コネクテッド・モビリティ、自動運転、次世代バッテリー技術の開発を支援するために、約10億ユーロの官民共同投資を実現させる。サイバーセキュリティを含めた経済安全保障基準も策定する。
クリーンモビリティでは、3月中に、乗用車及びバンに対する重点的な排ガス規則改正案を発表。排ガスの達成基準を単年ではなく、2025年から2027年の3カ年の平均で達成することを認めるルールとし、1年や2年で目標に達しなかった場合でも、他の年で達成しすぎた分を相殺することができるようにする。同時に、今後予定されている自動車及びバンの排ガス規則の見直しに向けた作業を前倒しで開始する。
また、欧州製のゼロエミッション車の需要を喚起する方策では、低所得者向けに新車及び中古のゼロエミッション車に対するソーシャルリース制度の導入、商用車のゼロエミッション化を進めるためのEU法の制定、ゼロエミッションの大型車には道路使用料の支払を減免する制度の収量期限を2025年12月31日以降に延長するユーロビネット指令の改正、消費者向けインセンティブのベストプラクティスの共有を進める。
電気自動車(EV)充電ステーションの拡充では、大型車向け充電ステーションの整備を迅速に進める「欧州クリーン輸送回廊構想」を2025年第3四半期に発表し、のEU加盟国との協働を強化。EV充電ステーション向けの系統連系の加速化でも、優先順位付けに関するガイダンスを発行する。EU加盟国に対し、スマート充電と双方向充電を促進する枠組を整備することも推奨する。
またバッテリーの性能メンテナンスを確保するため、2025年第3四半期にバッテリーの修理・メンテナンス情報へのアクセスを確保するための規制措置2026年第3四半期までに、バッテリーパスポート制度で、バッテリーの性能情報へのアクセスを確保するための規制措置を導入する。2026年に代替燃料インフラ規則(AFIR)を見直し、一般に利用可能な充電ポイントにおける価格の透明性をさらに強化するための評価項目も導入する。
競争力とサプライチェーンのレジリエンスでは、包括的な「バッテリー・ブースター」パッケージを整備し、イノベーション基金からバッテリー製造への支援、EU域内でバッテリーを製造する企業に対するEUの直接生産支援を制度化する。川上バリューチェーンへの民間セクターの共同投資も促進する。他に、立法中のELV(使用済自動車)規則の内容を早期に固め、使用済自動車とバッテリーのリサイクル施設に対する融資支援を検討。リサイクル促進のためのさらなる支援や、自動車の主要部品のレジリエンスとサステナビリティの基準策定も進める。
欧州委員会は今後、EU理事会及び欧州議会に対し、同アクションプランを説明し、必要な法改正を進める考え。
【参照ページ】Commission boosts European automotive industry's global competitiveness
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