
世界保健機関(WHO)と世界気象機関(WMO)は8月22日、猛暑が及ぼす労働者への健康リスクの増大に関する新たな報告書とガイダンスを発行した。すでに世界中で24億人以上の労働者が猛暑にさらされ、年間2,285万件以上の労働災害が発生している。
今回発表した報告書では、過去50年分の研究とエビデンスを基に、気温上昇が労働者の健康と生産性に深刻な影響を及ぼしていると強調。WMOは、2024年は記録史上最も暑い年だったと報告。日中の気温が40℃を超え、さらに50℃を超える日も増えており、世界中の労働者に悪化する熱ストレスの影響に対処するための早急な対策が必要と伝えた。
猛暑と健康の関係では、現在、世界で24億人以上の労働者が職場での猛暑にさらされており、年間労災件数2,285万以上、死亡者数1万8,970人、障害調整生命年(DALY)は209万年となっている。また、職場での熱ストレスに起因する慢性腎臓病疾患者数は、2020年には推定2,620万人。他にも、熱疲労、汗疹、熱失神、熱けいれん、熱浮腫等の軽度のものから、熱疲労、熱中症、体液・電解質バランスの崩れ等の重度のものまでリスクが発生している。メンタルヘルスへの影響も懸念されている。
猛暑と労災リスクの関係では、暑さ指数(WBGT)が15を超えると1上昇毎に平均2.4%低下し、20を超えると1上昇毎に2%から3%低下することが報告されている。WBGTは、湿球温度計、黒球温度計、乾球温度計の3つを用意し、屋外では「0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度」、屋内では「0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度」で算出される。
そこでWHOとWMOは、政府、雇用主、保健当局が、猛暑による労働者へのリスクを軽減するための明確な措置を講じるべきと提唱。具体的に7つの対策を挙げた。
- 職業熱健康政策の策定:地域毎の気象パターン、特定の職種、労働者の脆弱性を考慮した計画と指針を策定
- 脆弱な層への重点的な対応:中年層・高齢者、慢性疾患者、体力低下により熱ストレスの影響を受けやすい者等への特別なケア
- 教育と啓発:救急隊員、医療従事者、雇用主、労働者が熱ストレスの症状を適切に認識し治療できるよう支援
- すべての関係者の参画:労働者、労働組合、医療専門家、地方当局等、多様なステークホルダーが連携し、熱健康戦略を共同作成
- ソリューションの設計:効果的、実践的、経済的に持続可能で環境にも配慮した解決策を設計
- イノベーションの活用:健康を保護しつつ生産性を維持する技術を導入
- さらなる研究と評価の支援:職業熱健康対策の有効性を強化し、世界中の労働者に対する最大限の保護を確保
【参照ページ】WHO, WMO issue new report and guidance to protect workers from increasing heat stress
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