
世界保健機関(WHO)欧州地域事務局は9月28日、ラトビアで2025年8月に導入された酒類販売規制に関する初期評価結果を発表した。規制導入後5カ月間で、完全にアルコールに起因する疾患等による死亡者数が27%減少し、60人超の死亡を回避したと推計した。
今回の評価は、ラトビア保健省の要請を受け、同国当局から提出されたデータをWHO欧州地域事務局が分析したもの。規制が施行された2025年8月1日から12月31日までの5カ月間について、アルコール中毒、アルコール関連肝疾患、アルコール誘発性急性膵炎等、アルコールに100%起因する死因による死亡が有意に減少した。
ラトビア国会は2025年1月、酒類流通法を改正し、主要措置を同年8月1日に施行。具体的には、酒類の小売販売時間の短縮、オンラインやアプリで購入した酒類の配送までの待機時間導入の義務化、ギャンブル施設での酒類販売制限、小容量包装への制限、酒類の価格や割引に関する広告禁止、販売促進施策の禁止を導入した。衝動買いや深夜の酒類購入を減らし、即時配送による購入の容易さを抑えることを狙った。
ラトビアの成人1人当たり年間総アルコール消費量は14.2Lで、世界でも高い水準にあり、成人に占めるアルコール使用障害の割合は23.3%で、EU平均の10.7%を大きく上回る。アルコールに起因する死亡は同国の全死亡の18.1%を占め、EU平均の5.2%を上回る。アルコール依存症も成人約8人に1人に影響していると推計されている。
今回の酒類の入手可能性を低減する措置は、WHOが非感染性疾患(NCDs)対策として推奨する「Best Buys」と「Quick Buys」に沿ったもの。「Quick Buys」は1年から5年で測定可能な公衆衛生上の効果をもたらし得る政策で、WHO欧州地域事務局は、ラトビアでは同様の措置の効果がほぼ即座に現れたとした。
WHO欧州地域事務局は、今回の初期評価を踏まえ、ラトビアに対し、酒類の入手可能性に関する現行規制を維持し、影響の継続的なモニタリングを行うことを提案。特にオンライン販売と電話販売での執行強化に加え、所得上昇によって酒類の価格負担感が低下しないよう、酒税を定期的に見直すことを挙げた。若年層の保護強化や、がんに関する警告を含む酒類への健康警告表示の義務化も追加措置として示した。
一方、今回の結果を暫定的なものとも位置付けており、改革後のデータが5カ月分に限られている点を強調。評価結果は独立した査読にも提出されている。外因、自傷、心血管疾患による死亡等への影響については、より長期間の追跡が必要とした。
【参照ページ】New alcohol policy measures in Latvia produce rapid public health gains
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