
IFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)は9月6日、サステナビリティ開示基準の次期トピックとして「生物多様性・生態系・生態系サービス(BEES)」及び「人的資本」のリスクと機会に関する情報開示の検討重要課題を明らかにした。
【参考】【国際】ISSB、生物多様性・生態系と人的資本を次期テーマに決定。人権は当面着手せず(2024年4月24日)
【参考】【国際】ISSB、SASBスタンダード改訂に着手。IFRS S1で義務化。優先セクターを特定(2024年8月4日)
ISSBは、今回発表のペーパーの中で、「生物多様性・生態系・生態系サービス(BEES)」及び「人的資本」については、既存のSASBスタンダードでの位置づけを重視し、今後の基準策定に向けた検討でも、SASBスタンダードと一体的に扱っていく方向性を示した。
BEESに含まれるテーマに関しては、「水・廃水マネジメント」「廃棄物・有害物質マネジメント」「生態系インパクト」「製品の品質・安全性」「製品設計&ライフサイクルマネジメント」「サプライチェーンマネジメント」「資源調達・効率」「気候変動物理的インパクト」「ビジネスモデル・レジリエンス」「法・規制環境マネジメント」「リスクマネジメントの重大事案」を挙げ、SASBスタンダードにおいてBEES関連テーマを1つ以上マテリアリティとして特定されているセクターは全体の84%あることを伝えた。特に水マネジメントに関しては、22セクターで共通事項として扱われており、普遍性が高いとの考えを示唆した。
同様に、人的資本のテーマに関しては、「労働安全衛生」「労働慣行」「従業員エンゲージメント、ダイバーシティ&インクルージョン」「サプライチェーンの労働条件」の4つを挙げた。これら1つ以上がマテリアリティとして特定されているセクターは全体の71%を占める。
ISSBは、次期トピックから「人権」を外すことを決定済みだが、「人的資本」の中に、労働安全衛生、労働慣行、サプライチェーン労働条件等の人権関連事項を含めていることもわかった。この線で検討が進めば、実質的に人権の一部事項が人的資本として基準策定が進むことになる。
また、今回のペーパーからは、「生物多様性・生態系・生態系サービス(BEES)」と「人的資本」について、「S2:気候関連開示」に続く、S3やS4として制定していく方向性と、セクター別にSASBスタンダードの中で制定していく方向性の、2つがありうるようにもうかがえる。
【参照ページ】International Sustainability Standards Board
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