
国際エネルギー機関(IEA)は5月21日、世界の重要鉱物の見通しに関する報告書の2025年版を発表した。同報告書の発行は今回で3回目。
【参考】【国際】IEA、重要鉱物の見通し報告書2024年版。価格下落も寡占リスク懸念(2024年5月25日)
同報告書では、リチウム、ニッケル、コバルト、グラファイト、レアアース類等のエネルギー関連の重要鉱物の需要、供給、投資に関する最新データと分析を提示。2025年版では、ハイテク、航空宇宙、先端製造業等で需要の高い20の重要鉱物も初めて分析した。重要鉱物に関する最新の予測データが閲覧できるオンラインツールもアップデートした。
今回の発表では、重要鉱物市場、特に精製・加工において、一部の国への集中が進んでいることを強調。銅、リチウム、ニッケル、コバルト、グラファイト、レアアース類の主要な重要鉱物の精製上位3カ国の平均市場シェアは2020年の約82%から2024年には86%に上昇した。
供給量増加分の約9割をニッケルではインドネシアが、その他の鉱物では中国が占めた。現在の政策と投資トレンドに基づくと、この状況は今後10年間で大きく変化することはなく、2020年時点の寡占度合いに戻る程度と予測した。
主要な重要鉱物の需要は堅調。中でも、リチウムの需要は2024年に約30%増加し、2010年代の年間成長率10%を大幅に上回った。しかし、中国、インドネシア、アフリカでの供給増加が価格の押下げ要因となっており、特にバッテリー金属の価格が影響を受けた。2020年以降、バッテリー金属の供給成長率は2010年代後半の2倍のペースで推移している。
今後10年間の需給バランスに関するリスクも指摘した。前年比較の重要鉱物投資額は、2023年の14%増から2024年には5%増に減少。探鉱活動は2024年に横ばいとなり2020年から続く上昇トレンドが停止。新規プロジェクトの資金調達も減速の兆しがある。
特に、銅市場では、各国が電力網の拡大を推進する中で需要が急増する見込みだが、2035年までに30%の供給不足に陥る模様。輸出制限の拡大も供給面での安全保障に影響を与える可能性がある。報告対象の重要鉱物の55%が、いずれかの輸出管理措置の対象となっており、規制措置の範囲は、原料や精製品だけでなく、加工技術にも拡大している。
需要が高い20の重要鉱物に関する分析では、市場規模が小さい鉱物でも供給障害が経済に大きな影響を与える可能性を指摘。中国はこのうち19鉱物で主要な精製国であり、平均市場シェアは約70%。15の鉱物は原油よりも価格変動が激しい傾向にある。
その他にも、既存のニッケルベースのリチウムイオン電池よりも安価なリン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)やナトリウムイオン電池等の新興バッテリー技術に関する鉱物サプライチェーンも分析。これらの技術が依然として中国による寡占リスクに直面しており、硫酸マンガンやリン酸等の重要な原材料のサプライチェーンを中国が支配していると指摘した。
【参照ページ】Diversification is the cornerstone of energy security, yet critical minerals are moving in the opposite direction
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