UEFA(欧州サッカー連盟)と食品世界大手米ペプシコは5月25日、2022年UEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメントから、サーキュラーエコノミーに向けたアクションを開始すると発表した。決勝トーナメント出場16クラブ中10クラブが協働する。
UEFAは、2030年サステナビリティ戦略を策定した上で、2030年までにサッカーによる環境へのインパクトを最小化し、同時にコスト削減も実現する「サーキュラーエコノミー方針」を策定。今回のペプシコとの協働はその一環として、「食品・飲料サーキュラリティ」プロジェクトを発足。データ収集、ステークホルダーとの協議、ガイドライン更新等を進めている。
中期目標では、2024年ロンドン開催のUEFAチャンピオンズリーグの決勝トーナメントで、新たな実証として「埋立廃棄ゼロ」を展開予定。2026年からは、同アクションを定期的に実践し、開催スタジアムの選定や、UEFAの全イベントでの廃棄物ゼロを要件に組み込むことを目指す。今回のパリでのチャンピオンリーグの施策は、2026年に向けての実証と位置づけられている。
UEFAとペプシコの今回の実証は多岐にわたっている。まず、全スタジアムで販売する食品・飲料に環境ラベルを付与。さらに、ペプシコは、同社ブランド全商品で再生プラスチック(rPET)含有率25%から100%のPETボトルや、再利用可能なエコカップを採用する。また、アルミ缶やガラス瓶のリサイクルにも注力。ピッチ上のペプシ周辺LEDボードには、リサイクル喚起のメッセージを継続表示する。
また、食べ残しのサンドイッチとデザートは地元の慈善団体に寄付。寄付できない未利用の食品はメタン発酵に使用する。
今回の施策から生み出された好事例は、データベースに登録。さらに、その事例をクラブ間で知見を共有するためのグループも発足した。スタジアム2ヵ所での実証プロジェクトを実用化するための分析も行っている。収集したデータは、UEFAの「サッカー試合における食品・飲料のサーキュラーエコノミー・ガイドライン」で、改善アクションの基準値として使用される見込み。
両者の協働は、両者の長期戦略が合致する形で生まれた。UEFAは、2030年までのサステナビリティ戦略として、「削減(Reduce)」「再利用(Reuse)」「リサイクル(Recycle)」「焼却熱回収(Recover)」の4Rsフレームワークを標榜。ペプシコは、「持続可能な農業」「バリューチェーンのサステナビリティ」「栄養」の3つの柱で構成サステナビリティ戦略「pep+(pep Positive)」で構成されるサステナビリティ戦略「pep+」を掲げており、両者の協働はこれらの戦略に沿ったものとなっている。
【参考】【国際】ペプシコ、pep+戦略発表。リジェネラティブ農業、水資源、DE&I、栄養改善等で強いコミット(2021年9月17日)
その他、UEFAは4月には、国連欧州経済委員会(UNECE)との間で、サッカーとUEFAイベント開催が、いかに都市のサステナビリティを向上するかを示す覚書にも調印。双方での連携も強化している。
【参照ページ】UEFA and PepsiCo to implement circular economy practices at the 2022 UEFA Champions League final
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