信用格付世界大手米ムーディーズは2月20日、気候変動関連の法規制強化により、2025年までに世界10%以上の石油精製所は閉鎖リスクがあるとする報告書を発表した。さらに、パリ協定での2℃目標に沿うシナリオが進むと、経済協力開発機構(OECD)加盟先進国の石油需要は、想定よりも早まり2020年までにピークを迎え、2035年までに現在の石油精製能力の最大25%が不要になると分析した。
ムーディーズは、航空機、船舶、トラック等の重量型輸送機器では石油エネルギー需要は2040年まで伸び続けるとしている。それでも、二酸化炭素排出量抑制の動きがは世界的に見られ、化石燃料消費削減政策の展開は想定を超えており、一般車両での石油エネルギー需要は落ちていくと見通した。
閉鎖リスクがとりわけ大きいのは、先進国の石油精製所。今後、アジアや中欧等の経済成長が見込まれる国では自前の石油精製設備の整備が進む一方、先進国では石油需要の低下に伴い供給先が減少していく。そのような精製所は、新興国等への輸出へと転じる必要があるが、コスト競争力に勝てなければ閉鎖に追いやられる。さらに先進国でカーボンプライシング導入が進めば、先進国の精製所はさらに競争力を失うことになる。
加えて、バッテリー技術が進展すると、消費者の電気自動車や燃料電池車両へのシフトが進み、ガソリン車やディーゼル車の消費者需要は落ち込んでいくことになる。
【参照ページ】Moody's: Carbon transition poses increasing risk for global oil refiners
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