英労働年金省は3月27日、海外の年金制度への移管を試みる英年金加入者に対し、英国内の金融アドバイザーからの助言を義務付ける現行制度を据え置くと発表した。英国では2015年4月の年金自由化改革以来、国外の認定献金制度へ年金資産を移管できるようになったが、年金所得が3万ポンド(約450万円)以上の加入者は、移管の際に英政府が認定する金融アドバイザーから助言を受けることが義務付けられている。この「助言義務」に対しては緩和を求める声もあったが、今回政府は維持することを決めた。
労働年金省の発表によると、2016年度から2017年度にかけて認定海外年金制度への移管実績は9,700件。そのうち何件がアドバイザーからの助言に影響を受けたか特定するのは難しく、また、2017年3月から導入された25%課税ルールによって移管件数は減少傾向にある。今回の発表でも、助言義務が加入者の移管を妨げている事実を立証することはできなかったとしている。加えて、金融オンブズマンサービス(Financial Ombudsman Service)に寄せられた助言義務に関する苦情件数は過去18か月で4件しかなかった。海外年金制度への移管一般についての苦情も過去3年で20件以下であり、このことも踏まえて現状維持で問題ないと判断された。
一方、政府は、海外年金制度移管に助言できるアドバイザーの不足と、それによって一部の加入者が移管の遅れを強いられていることは認めている。しかし、認定アドバイザー不足は解消しつつあり、金融行動監視機構(FCA)のルール変更後1週間で、英国保険協会(Chartered Insurance Institute)の新資格の取得を希望する者は500人以上に上っている。
【報告書】The advice requirement and overseas pension transfers
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