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【日本】小売大手、ニホンウナギの蒲焼きを2.7t廃棄。廃棄量未公表の企業も多数

 国際環境NGOグリーンピースの日本支部グリーンピース・ジャパンは6月4日、ウナギの調達及び小売に関し、小売大手18社を対象に実施したアンケート調査と独自に実施したDNA検査結果を発表した。小売各社がどの種のウナギを調達しているか把握できていない実態や、2017年だけで約2,730kg(約13,650匹)の蒲焼きが消費されずに廃棄されていたことがわかった。

 日本で消費されているウナギには、ニホンウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギ、ビカーラウナギの4種類がある。このうち、ヨーロッパウナギは、国際自然保護連合(ICUN)が「近絶滅種」に指定し、ワシントン条約も附属書IIリストに入れているため、国際取引が規制されている。EUも2011年、ヨーロッパウナギの輸出を全面的に禁止した。また、ニホンウナギとアメリカウナギも、一段階手前の「絶滅危惧種」に指定され、文字通り絶滅が危惧されている。残ったビカーラウナギも、さらに二段階手前の「準危急種」に指定されている。

 グリーンピース・ジャパンは2013年から、ウナギの小売販売に関する調査を継続的に実施しており、今回の調査ではサプライチェーンの透明性に関する問題を浮き彫りにする点にも重点が置かれた。対象となった小売企業は、イオン、イズミ、イトーヨーカドー、オークワ、コープデリ、西友、ダイエー、バロー、パルシステム、平和堂、マルエツ、ヤオコー、ユニー、ヨークベニマル、ライフ、ラルズ、イズミヤ、フジ。このうち、イズミヤとフジはグリーンピースのアンケート調査に回答しなかった。また、各社が販売しているウナギ加工品を購入し、外部のDNA調査機関を通じた魚種特定も実施された。

 販売ウナギの種に関しては、2014年7月の調査では大手小売の8社以上が、EUで輸出が禁止されているはずのヨーロッパウナギを販売していることが確認されたが、2015年7月には販売がゼロとなっていた。今年のDNA調査では、16社全てがニホンウナギを販売、その他数社がアメリカウナギやビカーラウナギも販売していることがわかり、ヨーロッパウナギから、取引規制のないニホンウナギ等へと取扱が変化したことが伺える。

 一方、小売企業は販売しているウナギの種を正しく認識していないこともわかった。オークワとユニーは、2017年調査時にはニホンウナギしか販売していないはずだが、DNA調査からはアメリカウナギが混在していることもわかった。企業担当者は、輸入品については種の確認が適切に遂行できていないことも認めた。グリーンピースは、トレーサビリティに大きな欠陥があるとコメントしている。

 また、ニホンウナギやアメリカウナギは取引は規制されていない。しかし、ニホンウナギの養殖を行なっている主要国・地域の日本、中国、韓国、台湾はニホンウナギの稚魚「シラスウナギ」の池入れ量を制限する合意を結び、2015年から「池入れ数量管理」が導入されている。その一方で、違法・無報告・無規制(IUU)漁業や不正取引が横行しており、問題が多い。アンケート調査では、ニホンウナギの販売があった16社のうち11社(イオン、イズミ、コープデリ、西友、ダイエー、パルシステム、平和堂、マルエツ、ヤオコー、ユニー、ライフ)は、IUU漁業や不正取引に関与していないことを保証できる商品がない、もしくは確認できていないと回答した。100%の確率でサプライチェーン透明化が保証できると回答したのは16社中オークワだけだった。しかし、グリーンピースは、オークワが把握しているのは輸入企業名だけだとし、実際にはオークワの回答は疑わしいとした。

 販売と廃棄については、12社だけで1,200tを超えるニホンウナギの蒲焼きが販売された中、処分量を回答した5社だけで約2,730kgのニホンウナギの蒲焼きが廃棄されていることがわかった。処分量がゼロとした企業はパルシステムとヤオコーの2社のみ。イオンとマルエツ、ライフはほぼゼロだと答えた。その他の企業は廃棄していることが明らかとなった。

【参考】【国際】ワシントン条約、日本がヨーロッパウナギとニホンウナギを大量に輸入と報告。高まる規制機運(2018年6月3日)

【参照ページ】グリーンピース調査:絶滅が心配されるニホンウナギ、大手小売業の不透明な調達と大量廃棄の実態が明らかに

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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