英気候変動関連メディアCarbon Briefは10月14日、英国での第3四半期の再生可能エネルギーの発電量が29.5TWhとなり、化石燃料火力発電量の29.1TWhを上回ったと分析した結果を発表した。再生可能エネルギー発電量が化石燃料火力発電量を上回るのは、同国の発電所が始動した1882年以来初。2010年には、化石燃料火力の年間発電量が288TWhと大きく、26TWhだった再生可能エネルギーと大きな差があったが、それ以降化石燃料の需要は大幅に減少する一方、再エネの発電量は約4倍にまで増加した。
2025年にかけ石炭火力発電所は段階的な廃止が決まっており、第3四半期では化石燃料火力発電割合38%のうち、天然ガスが37%と大部分を占める。石炭火力発電所は1960年代から1970年代に設立され、老朽化が進んでいるため、カーボンプライシングや汚染規制等によって経済性を失ってきている。他方、再生可能エネルギーは英国の総発電量の40%を占め、その内訳は風力20%、バイオマス12%、太陽光6%となっている。その他22%のうち19%は原子力発電が占める。
英国での再生可能エネルギー発電量の増加は、洋上風力発電に支えられてきた。2018年には新規設備容量だけで2,100MW以上、2019年には世界最大の洋上風力発電となるHornsea Oneで1,200MW、Beatriceで588MWと設備容量を増強した。また設備容量714MWのEast Anglia Oneも2020年に完成を予定している。英国政府は、総計で洋上風力設備容量8,500MWの建設を許可しており、2020年代には20,000MWに到達する見込み。2030年までに官民連携で30,000MWを目指す。
バイオマス発電についても、設備容量420MWのLynemouth発電所が始動したことで勢いづいた。バイオマス発電のうち3分の2は植物バイオマスが燃料で、残りは小規模な埋立処分場からのメタンガスや下水ガス、嫌気性消化によるもの。しかし、バイオマス発電はゼロカーボンに繋がらないだけでなく、状況によっては化石燃料よりも二酸化炭素排出量が多くなる場合もある。
一方、天然ガス火力発電の設備容量は30,000MWに上るが、英国政府は今後2035年までに必要となガス火力新規設備容量は6,000MWにとどまるとの見通しを示している。再生可能エネルギーの台頭を受けて、現在計画中の天然ガス火力発電所も一部は着工に至らない見込みだという。
【参照ページ】Analysis: UK renewables generate more electricity than fossil fuels for first time
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら