【ランキング】2020年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」 2020/01/23 体系的に学ぶ

【ランキング】2020年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」 1

 毎年恒例の世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)が、2020年は1月21日に開幕した。ダボス会議の目玉のひとつは、サステナビリティの観点で世界各国の企業を評価する「Global 100 Most Sustainable Corporations in the World (Global 100 Index)」のセッション。ここで発表された結果は、カナダの出版社Corporate Knights社によって「世界で最も持続可能性のある企業100社」(ランキング)として発表される。早速、2020年の顔ぶれを見ていこう。

Global 100 トップ10

順位 企業 業界
1 アーステッド ノルウェー エネルギー
2 クリスチャン・ハンセン デンマーク バイオ
3 ネステ(Neste) フィンランド エネルギー
4 シスコシステムズ 米国 ハードウェア
5 オートデスク 米国 ソフトウェア
6 ノボザイムズ デンマーク 化学
7 INGグループ オランダ 銀行
8 エネル イタリア エネルギー
9 ブラジル銀行 ブラジル 金融
10 Algonquin Power & Utilities Corp カナダ 電力

(出所)CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成

昨年に引き続きトップ10入りしたのは、

  • アーステッド
  • クリスチャン・ハンセン
  • ネステ(Neste)
  • ブラジル銀行

 の4社。今年は評価手法の変更が少なく、例年よりも上位ランク企業の顔ぶれが変わらないという特徴があった。

 また、日本でも知名度の高い企業やSustainable Japanでしばしば取り上げる企業も多数、11位から100位の間にランクインした。

12位 積水化学工業(日本 化学)
13位 ストアブランド(ノルウェー 金融)
15位 ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(米国 ハードウェア)
20位 アクセンチュア(アイルランド コンサルティング)
21位 ダッソー・システムズ(フランス ソフトウェア)
23位 ケリング(フランス アパレル)
25位 TSMC(台湾 半導体)
26位 プロロジス(米国 不動産)
27位 H&M(スウェーデン アパレル)
29位 シュナイダーエレクトリック(フランス 電機)
30位 ナチュラ(ブラジル 消費財)
31位 BNPパリバ(フランス 金融)
36位 シティ・デベロップメンツ(シンガポール 不動産)
37位 ヴェスタス(デンマーク 電機)
41位 シーメンス(ドイツ 電機)
42位 ナショナル・オーストラリア銀行(オーストラリア 金融)
43位 新韓金融グループ(韓国 金融)
45位 DSM(オランダ 化学)
46位 ユニリーバ(英国・オランダ 消費財)
46位 アドバンテック(台湾 ハードウェア)
52位 エリクソン(スウェーデン 通信)
53位 ダナハー・コーポレーション(米国 医療機器)
55位 アディダス(ドイツ アパレル)
56位 アストラゼネカ(英国 医薬品)
58位 HP(米国 ハードウェア)
59位 コメルツ銀行(ドイツ 金融)
61位 ABB(スイス 電機)
62位 アルファベット(米国 IT)
63位 キャピタランド(シンガポール 不動産)
65位 BTグループ(英国 通信)
68位 武田薬品工業(日本 医薬品)
71位 ノボノルディスク(デンマーク 医薬品)
72位 コニカミノルタ(日本 電機)
74位 テスラ(米国 自動車)
75位 ウエストパック銀行(オーストラリア 金融)
79位 グラクソ・スミスクライン(英国 医薬品)
80位 サムスンSDI(韓国 電機)
81位 インテル(米国 半導体)
84位 カナディアン・ソーラー(カナダ 電機)
85位 BYD(中国 自動車)
86位 花王(日本 消費財)
87位 BASF(ドイツ 化学)
89位 パナソニック(日本 電機)
92位 トヨタ自動車(日本 自動車)
93位 キャンベル・スープ(米国 食品)
95位 シンガポール・テレコム(シンガポール 通信)
97位 レノボ(中国 ハードウェア)
98位 ロレアル(フランス 消費財)
100位 アムンディ(フランス 金融)

 日本からは、積水化学工業、武田薬品工業、コニカミノルタ、花王、パナソニック、トヨタ自動車の6社がランクイン。日本企業のランクイン数は、2015年の1社から2016年と2017年は4社。2018年も4社を維持し、2019年は2倍の8社となり、今回6社に減った。武田薬品工業は5年連続、積水化学工業も3年連続。またかつて常連であったトヨタ自動車も2年連続でランクインした。今回、積水化学工業が健闘し、最上位が12位にマークした。しかし、それ以外は60位以内には入れなかった。

Global 100 地域別社数ランキング

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
ヨーロッパ 44 59 55 49 52 53 59 59 51 49
北米 21 14 20 31 32 27 25 22 28 29
アジア・太平洋 31 23 18 18 15 18 14 14 17 18
中南米 3 3 5 2 1 2 2 5 4 3
中東・アフリカ 1 1 1 0 0 0 0 0 0 1

 地域別のトップ100企業数はほぼ変わらず。ヨーロッパと北米を合わせた企業で約8割。アジア・太平洋のランクイン数は18社と昨年よりやや増えた。

Global 100 アジア内国別ランクイン社数ランキング

2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020
アジア 31 23 18 18 15 18 14 14 17 18
 日本 19 12 4 5 1 4 4 4 8 6
 シンガポール 1 2 3 4 4 4 3 3 2 3
 韓国 1 2 1 3 4 4 3 3 3 2
 オーストラリア 6 6 9 5 4 5 2 2 2 2
 台湾 0 0 0 0 0 0 0 1 2 2
 中国 0 0 0 0 1 1 1 1 0 2
 香港 1 0 1 1 1 0 1 0 0 1
 インド 3 1 0 0 1 0 0 0 0 0

(出所)CorporateKnights社の発表を基にニューラル作成

 アジア・太平洋地域内のランクイン企業数は、日本が6社でトップ。日本以外では、韓国の新韓金融グループ、サムスンSDIが連続ランクイン。特に新韓金融グループは、43位と高い評価を受けている。シンガポール勢は、シティ・ディベロップメンツとキャピタランドがともに連続ラインクイン。さらにシンガポール・テレコムが入り、合計3社となった。台湾からはTSMCが3年連続で、さらにアドバンテックが2年連続でランクインした。

ランキングの評価方法①(4つのスクリーニング)

 Global 100の選出方法は、昨年から大きな変更はなかった。評価対象となる企業は、以前は20億米ドル以上だったが、昨年からは売上10億米ドル以上となっている。

 その後に4段階のスクリーニングが行われ、そのスクリーニング基準を満たさない企業はその時点でランキング対象から除外される(但し、昨年のGlobal 100ランクイン企業は、制裁スクリーニングに引っかからない限り、自動的にランキングの対象となる)。それを通過した企業のみにスコアリングが為され、ランキングされる。スクリーニングは以下の4点により行われます。

  1. サステナビリティ情報開示
  2. 財務状況
  3. 製品カテゴリー
  4. 制裁

1. サステナビリティ情報開示

 まず最初にスクリーニングがなされるのは、サステナビリティ情報の開示の有無によってです。開示情報は以下の21項目に分類され、昨年までの12項目から大きく増えました。

  • エネルギー生産性
  • GHG生産性
  • 水生産性
  • 廃棄物生産性
  • VOC生産性
  • NOx生産性
  • SOx生産性
  • PM生産性
  • イノベーション能力
  • 税納付
  • CEO報酬と従業員平均報酬の比率
  • 年金保護
  • サプライヤー
  • 休業災害(LTI)率
  • 事故死者数
  • 離職率
  • 経営陣の女性比率
  • 取締役の女性比率
  • 役員報酬制度
  • 罰金金額率
  • クリーン売上

 この21項目のうち業界ごとに「優先的KPI」が定められており、その優先的KPIを75%以上開示していれば、このスクリーニングを突破できる。業界ごとに定められる「優先的KPI」は、業界内に属している企業のうち最低でも10%の企業が開示しているものが選定される。

2. 財務状況

情報開示のスクリーニングを通過すると次は財務状況でスクリーニングされます。具体的には、以下の要件のうち5つ以上満たす必要がある(PiotroskisのFスコアと呼ばれている)。

  1. 純利益が黒字であること
  2. 営業キャッシュフローが黒字であること
  3. (純利益/期初総資産)が前年度の数値を上回っていること
  4. 営業キャッシュフローが純利益を上回っていること
  5. 長期負債÷総資産の年平均額が増加していないこと
  6. 流動比率が高まっていること
  7. 前年に普通株式発行を行っていないこと
  8. 粗利益が前年より増加していること
  9. 総資産回転率が向上していること

3. 製品カテゴリー

 財務状況のスクリーニングを通過すると次は製品カテゴリーのスクリーンが行われる。一昨年までは、たばこと武器だけが除外対象だったが、昨年からは大幅に増えた。今年はさらにグリーンファイナンス、表現の自由、児童労働が加わった。

  1. たばこ売上が5%以上の企業
  2. クラスター爆弾・核兵器関連企業
  3. ストックホルム国際平和研究所調べの武器販売世界トップ100企業及び武器販売売上が50%以上の企業
  4. 小型兵器売上が10%以上の企業
  5. 畜産での動物福祉のスコアが低い企業
  6. 食肉関連企業
  7. 売上に対する罰金額が著しく大きい企業
  8. InfluenceMap調べで気候変動規制対応が低い企業
  9. ノルウェー銀行投資マネジメント部門(NBIM)が「環境破壊が著しい」と指定した企業
  10. オックスフォード大学スミススクールが一般炭(石炭)売上が30%以上と判断した企業
  11. Global Canopy Programmeで熱帯雨林破壊防止努力が欠けていると判断された企業
  12. 営利刑務所運営企業
  13. フリーダム・ハウスが「自由度が最悪」と認定した国での売上が5%以上の企業
  14. RepRiskが国連グローバル・コンパクト(UNGC)違反が著しいと判断した企業
  15. ギャンブル売上が5%以上の企業
  16. ポルノ関連企業
  17. BNEFデータで、再生可能エネルギーよりも化石燃料エネルギーへのファイナンス額が大きい金融機関
  18. Ranking Digital Rightsデータで、表現の自由・プライバシーの評価が低い企業
  19. Know the Chainが下位25%と評価した企業。

4. 制裁

 最後に、2018年9月30日までの過去12ヶ月の間に、サステナビリティに関する問題で罰金等を受けていないかがチェックされます。罰金額が総収益に占める割合の大きさが業界内で上位(ワースト)25%以内にいなければ、このスクリーニングを通過します。

ランキングの評価方法②(スコアリング)

 スコアリングする際の評価基準は、「サステナビリティ情報開示」のスクリーニングで使用した優先的KPIが用いられます。優先的KPIごとの数値の平均がその企業のスコアとなり、そのスコアに準じて順位が決まります。今回は大きな変化がありました(赤字の箇所が変更あり)。

  • エネルギー生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷(直接的および間接的なエネルギー消費量ー再生可能エネルギー消費量)
  • GHG生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 二酸化炭素排出量(スコープ1とスコープ2)
  • 水生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 水使用量
  • 廃棄物生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 廃棄物排出量
  • VOC生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ VOC排出量
  • NOx生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 窒素酸化物排出量
  • SOx生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ 硫黄酸化物排出量
  • PM生産性: 売上(購買力調整後米ドル換算)÷ PM排出量
  • イノベーション能力: R&D投資 ÷ 過去3年売上
  • 税納付: 納税額 ÷ 過去5年EBITDA
  • CEO報酬と従業員平均報酬の比率
  • 年金保護: 75% ×(DB及びDC年金掛金total ÷ フルタイム当量従業員パーセンタイルランク)+ 25% ×((DB年金資産の公正価値 ÷ フルタイム当量従業員パーセンタイルランク)− (1-(DB年金資産の公正価値 ÷ 負債パーセンタイルランク))
  • サプライヤー:ブルームバーグのデータをもとに企業の最大サプライヤーを特定。そのサプライヤーをGlobal 100と同じ評価方法でスコアリングした際のスコア
  • 休業災害(LTI)率
  • 事故死者数: 事故死者数 ÷ 総従業員数
  • 離職率: 離職者数 ÷ 総従業員数
  • 経営陣の女性比率
  • 取締役の女性比率
  • 役員報酬制度: サステナビリティ指標に連動した報酬制度の有無
  • 罰金金額率:罰金・和解金額 ÷ 売上
  • クリーン売上: Corporate Knightsが指定する「クリーン」商品・サービス売上比率

最終ランキングの作成

 最終ランキングは全業界横断での評価ではなく、まず業界ごとのスコアランキング表が作られる。そして、ベンチマーク指標であるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)でのセクター(業界)割合を用い、各業界からの最終ランキングに入ることができる業界ごとの企業数を割り当てる。最後に、その業界割当数を用い業界ランキングの上位企業から最終ランキングに入れられる。

【ランキング】Global 100 2020

著者プロフィール

夫馬 賢治

株式会社ニューラル 代表取締役CEO

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