投資運用世界大手米ブラックロックは1月、ESG投資の進展に向けた提言を発表した。ESG投資やサステナブルファイナンスが求められる中、同社としてもESG投資を加速させると表明。一方で、アセットオーナー、運用会社、企業、政府、大学、NGO等で「サステナブル投資」に関する共通言語が形成されていないことが、推進への大きな課題となっていると問題提起した。
今回の発表では、共通言語が必要となっている領域として「投資商品」「企業情報開示」「経済活動」の3つを位置づけ、各々について提言をまとめた。
投資商品では、ポートフォリオ・レベルでの分類が必要と指摘。ESG投資の戦略について、ファンド毎に「サステナブル」や「グリーン」等の名称が付いているものの、内容が一定でないことで、アセットオーナーの混乱を招いているとした。そこで、ブラックロックとしては、「スクリーニング投資」「ESG投資」「インパクト投資」の3つの分類法を提案。スクリーニング投資は、特定のセクターや企業を投資除外した手法。ESG投資は、ESGパフォーマンス全体を考慮する「ブロード」と、特定のESGテーマに着目した「テーマ型」の2種類があると分類した。インパクト投資は、特定の環境・社会インパクトを狙った投資手法で、測定可能なインパクト設定でインパクト報告が必要なものとした。インパクト投資では、グリーンボンドや、再生可能エネルギーへのインフラ投資を例示した。
企業情報開示では、情報開示の統一フレームワークが必要と主張。優れたフレームワークとして、SASBスタンダードと、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインを紹介。ブラックロックとしては、全ての投資先企業に、SASBスタンダードとTCFDを活用した情報開示を求めていく考えを示した。SASBスタンダードとTCFDガイドラインを含めた既存のフレームワークを踏まえた新たな統一的な情報開示フレームワークが望ましいとも言及した。また、ESGデータの統一データベース等により事務コストを下げることも必要とした。
経済活動では、「サステナブル」と呼べる事業の定義の重要性を指摘。但し、EUタクソノミーについては、細かく内容を規定し、白黒という二元論でしか示されていない点が望ましくないとした。代わりに、アセットオーナー自身に選択を与えるため、段階的なレベル感を示したタクソノミーが望ましいとした。
【参照ページ】Towards a Common Language for Sustainable Investing
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