Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の96%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【スペイン】政府、ベーシック・インカム制度を閣議決定。日本の生活保護制度に近い内容

 スペイン政府は5月29日、新型コロナウイルス・パンデミックの影響で急増した貧困層を救済するため、「ベーシック・インカム(最低所得保障)制度」の導入を閣議決定した。6月から順次実施し、効果が伴えば、同国における恒久的な制度にしていく考え。

 同制度は元々、昨年、ペドロ・サンチェス首相率いるスペイン社会労働党とパブロ・イグレシアス副首相率いる連立与党急進左派ポデモスが合意した「連立政権の基本同意」の中にすでに含まれていたが、新型コロナウイルス・パンデミックの発生に伴い、導入の時期を前倒しした形。

 支給金額は、一人暮らしの成人に月462ユーロ(約5万6,000円)。家族の場合には年齢を問わず一人当たり月139ユーロ(約1万7,000円)を追加支給する。一世帯当たりの上限額は、月1,015ユーロ(約12万円)。対象は、貧困層に分類される約85万世帯、計230万人で、そのうちの30%は未成年と予測されている。拠出予算は約30億ユーロ(約3,700億円)と試算した。

 給付金は、毎月の給与に上乗せされて支給されるため、受給者は、国が定める最低所得基準を満たす形となる。しかし、所得制限を設けている点や、世帯毎に給付を行う点から、全ての国民に無条件で一律給付を行う「ユニバーサル・ベーシックインカム制度」とは異っており、日本の生活保護制度に近い。制度の詳細は、最終的には国会で詰める。

 スペインは、3月中旬から都市封鎖(ロックダウン)措置を講じてきたが、その期間中に数十万人の失業を引き起こし、2008年のリーマンショック時以上の貧困層を生み出した。国内における2020年の失業率は、2019年末の13.8%から19%に上昇し、GDPは9.2%減が予測されている。

 政府は、同制度を、新型コロナに対する一時的な経済措置として扱うのではなく、恒久的な制度にしていく方針を示した。

 なお、新型コロナを機に、ベーシック・インカム制度の導入の推奨する政府や機関は多い。英スコットランドのニコラ・スタージョン首相は、ユニバーサル・ベーシック・インカム制度の導入に前向きな表明を示している。また、Kanni Wignaraja国連事務次長兼アジア太平洋事務所長は、新型コロナを契機に貧富の格差が急速したことに加え、今後のテクノロジーの発展に伴う雇用への脅威を受ける脆弱な人々の生活支援のため、ユニバーサル・ベーシック・インカムの導入を呼びかけている。

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。