EUの欧州会計監査院(ECA)は10月6日、プラスチック廃棄物の規制を強化が必要とする政策レビュー結果を発表した。EUが2018年に強化したプラスチック廃棄物に関するEU法によりリサイクル設備能力は増強されているが、現状では著しく不十分とし、今後5年から10年で導入するさらなるアクションを求めた。
今回のレビューは、欧州委員会の予算状況の監査ではなく、公開情報等を基に実施した政策レビューによるもの。ペットボトルやヨーグルト容器等のプラスチック製容器だけで、EUでのプラスチック消費量の約40%、プラスチック廃棄物の60%以上を占めながらも、これらのプラスチック容器は、プラスチック全体の中でもリサイクル率が約40%と低い点を指摘した。
これに対し、2018年にEUが導入した新たな容器・包装廃棄物指令(PPWD)では、リサイクル目標を2倍に引き上げ、2025年までに50%、2030年までに55%としたことを評価した。しかしその一方、EU加盟国で統一されていない「リサイクル」定義を厳格化することにより、現在のリサイクル率を42%と算出されたものが、実際には30%にまで下がるとの計算結果を披露。それにより、目標達成にはさらなる政策アクションが必要との見方を示した。
またリサイクルの難易度が今後上がる背景として、バーゼル条約により、汚れたプラスチックの海外輸出が困難になり、EU域内でのリサイクル処理が迫られることも強調した。現在、EUで報告されているプラスチック廃棄物のうち、3分の1は海外輸出しリサイクルされていることとなっており、EU自身も2021年1月からプラスチック廃棄物の海外輸出を禁止する。この状況で、域内でのリサイクル率を上げるためには、リサイクル施設の大幅な拡充が必須とし、怠れば海外への違法輸出や犯罪行為につながるおそれがあると危惧した。
【参照ページ】Review No 04/2020: EU action to tackle the issue of plastic waste
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