世界経済フォーラム(WEF)は5月24日、旅行・観光業界に関する最新の調査レポート「旅行・観光開発指数(TTDI)」を発表した。2007年から2019年まで概ね2年毎に実施してきた「旅行・観光競争力レポート(TTCR)」の評価指標を発展させたものとなっている。
【参考】【国際】WEF、旅行・観光競争力レポート発表。急速な成長とオーバーツーリズムへの懸念(2019年9月5日)
同レポートは、世界140カ国を対象。これまでは、旅行・観光を呼び込む「ビジネス環境」、旅行・観光を促進する「政策」「インフラ」「自然資源・文化資源」の4項目を軸に、「旅行・観光競争力インデックス(TTCI)」を算出していた。今回は、「自然資源・文化資源」が「旅行・観光需要要因」となり、「旅行・観光サステナビリティ」が追加され、合計5項目、17の柱でTTDIを算出している。
今年の指数では、日本が首位を獲得。ポテンシャルが非常に大きいという結果となった。2位以降は、米国、スペイン、フランス、ドイツ。次いで、スウェーデン、オーストラリア、イギリス、シンガポール、イタリア。
総合指数では、最もスコアを伸ばしたのはベトナムで62位から52位に上昇。また、インドネシアは44位から32位、サウジアラビアは43位から33位とランクを上げた。
地域別にみると、ヨーロッパは唯一平均スコアを減少させた。サブサハラ・アフリカは、最もパフォーマンスが改善したが、世界平均とは大きく乖離していた。
国際観光とビジネス旅行全体では、新型コロナウイルス・パンデミック前の水準をまだ下回っている。しかし、予防接種率の増加、オープンな旅行への回帰、国内や自然を楽しむ観光への需要の高まりにより、需要の回復の兆しが見える。また、世界観光機関(UNWTO)によると、2022年1月の前年比の国際観光客数の増加数は、2021年1月よりも大きい。ワクチンの入手が容易になったことで、これまでの制限が解除されている影響が大きい。
こうした需要回復の傾向がある一方で、旅行・観光業界は、ワクチンの偏在、ワクチン生産能力の制約、サプライチェーンの混乱、労働力不足などの課題に直面している。
長期的に、レジリエント、サステナブル、インクルーシブな成長を実現するために、健康とセキュリティ対策の強化、インクルーシブな労働慣行の実現、環境におけるサステナビリティの改善、デジタル技術への投資などを優先する必要があるとした。
健康やセキュリティを強化することで、国際的な旅行市場を開放し、消費者が安心して旅行できる心理状況を回復・加速させることができる。
また、新しいデジタル技術は、観光の業務プロセスの管理、旅行者の体験の最適化、過密状態を解消するために活用できる。そのためには、デジタル・デバイド、スキルギャップ、中小企業のデジタル化への取り組みなどの課題に取り組む必要がある。
【参照ページ】New travel and tourism study shows need to prepare for future headwinds, as sector shows signs of recovery
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