世界経済フォーラム(WEF)は9月4日、2019年版の「旅行・観光競争力レポート(TTCR)」を公表。旅行・観光産業が多くの国で伸長する一方、資源やインフラ面で需要の伸びに対応が追いついていないと警鐘を鳴らした。同レポートの発行は2007年に始まり、概ね2年毎に実施。今回が8回目。
同レポートは、世界140カ国を対象。旅行・観光を呼び込む「ビジネス環境」、旅行・観光を促進する「政策」、「インフラ」、「自然資源・文化資源」の4項目を軸に、「旅行・観光競争力インデックス(TTCI)」を算出している。
今年のランキング結果は、2017年と同様スペインが世界第1位。以下、フランス、ドイツ、日本と続き、5位には英国に代わり米国がランクインした。6位以下は、英国、オーストラリア、イタリア、カナダ、スイスの順。
海外旅行延べ人数は世界全体で年間14億人に達したが、そのうちランキング上位10カ国だけで3分の1、上位35カ国で3分の2を占める。このように海外旅行先は集中しており、人気の高い旅行先はインフラ等の対応が比較的進んでいるものの、需要に追いつかない状況が生まれてきている。他方、観光インフラの脆弱な新興国でも、観光客の増加にインフラや資源提供が限界レベルに近づいてきている。WEFは、これらの減少を「オーバーツーリズム」と呼び、政府も対応に乗り出すべきとした。
また同レポートは、経済力と旅行・観光競争力の相関分析も実施。高所得国の競争力は、低所得国よりも38%高かった。そのため、高所得国と同水準の自然資源を有する低所得国は、自然資源を旅行・観光産業に投入する政策を講じることで、広範な経済発展を促進できると提案している。旅行・観光業は、世界のGDP全体の10%以上を占めている。
【参照ページ】Over-Tourism Concern Looms as Policy, Resources and Infrastructure Stretched by Rapid Travel Growth
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